中途転職「35歳が限界」変わる 中高年が増加傾向
景気回復をにらみ企業が採用を拡大する中、若手だけでなく中高年の転職が増えてきた。業容を拡大している中堅・中小企業を中心に、経験豊富な管理職などを外部から登用。迅速な新規事業の立ち上げや海外展開に生かしている。従来は35歳を目安に、それ以上の年齢の転職は難しい面もあったが、少しずつ変わり始めている。
総務省の労働力調査によると2014年の転職者は290万人で4年連続で増加した。この間の増加幅は7万人だった。25~34歳は労働力人口の減少もあり7万人減って75万人だった。一方で35~44歳が5万人増え67万人、45~54歳も3万人増え41万人となった。
人材紹介大手のJACリクルートメントによると、40~50代の求人は今年に入っても増加が続き「外資だけでなく国内企業も管理職採用に積極的だ」(松園健社長)。ヘッドハンティングを手がけるプロフェッショナルバンク(東京・千代田)では「実務経験が豊富な現場のリーダークラスのニーズが高まっている」(児玉彰社長)という。
カーナビ大手のアルパインは35歳以上の管理職の中途採用に積極的に取り組んでいる。14年度は5人採用し15年度は最大10人まで増やす予定だ。同社では「クルマの電子化に伴い事業領域が拡大していることに対応する」としている。自動認識システムやラベルプリンターを手掛けるサトーホールディングスでも14年度は9人採用し15年度も4人採る計画だ。
建材大手の永大産業は、これまで新卒採用がほとんどだったが、昨年秋に40~50代のメーカーの海外勤務経験者を2人採用した。即戦力としてベトナムの資材製造関連会社の管理部門の責任者などに配置した。現地従業員の管理は「経験がないと難しい」(同社)。
急成長するIT(情報技術)企業の中途採用も活発だ。弁当宅配サイトを運営するスターフェスティバル(東京・渋谷)は、最高財務責任者(CFO)や最高技術責任者(CTO)に楽天などからヘッドハンティングしてきた人材を起用した。経営のスピードが一段と求められるようになる中、新興企業では自前の人材育成では業容拡大に追いつかない面もある。
大企業が女性の管理職登用の一環として転職組を活用するケースもある。日立製作所では13年度から経験者採用を増やしている。採用活動をまとめる人事教育総務センタ・採用グループの大竹由希子部長代理は電機メーカーなどを経て14年2月に入社した。40代で人事関連での経験が評価され採用された。
中高年の転職拡大で転職全体の平均年齢は上昇している。プロフェッショナルバンクで採用が決まる人の平均年齢は40歳程度だという。人材サービス、インテリジェンスの木下学DODA編集長は「これまで転職サービス業界でささやかれていた『35歳限界説』が、ここ2~3年で中高年層の採用が活発になり崩壊してきた」と指摘する。
年功序列型の給与体系の見直しが進んでいることも、中高年の転職が増えている背景にある。企業は必要な人材を中途採用するために高い給与を提示しやすくなった。実力主義の浸透で、職場では外部から来た年下の上司も受け入れられるようになってきたようだ。
