中途35歳以上の採用も増加、いま転職に成功する条件
リーマン・ショック以降の低調ムードから一変、活況を見せる転職市場。転職に成功しているのはどんな人? 今後の企業の採用ニーズはどうなるのか? 転職の最新動向を徹底チェックしてみましょう。
転職を考える人に追い風が吹き続けている。厚生労働省発表のハローワークの7月の月間有効求人倍率(季節調査値)は1.10倍、新規求人倍率(同値)は1.66倍。インテリジェンスによると、13年4月以降、取引先企業の求人数が前月を更新し続けているという。

リクルートキャリアの木元香織さんは「企業側の採用意欲の高さを肌で感じる」と話す。その理由は2つ。まずは慢性的な人材不足。「08年のリーマン・ショック以降、採用を控えていた企業ばかり。1人当たりの仕事量が増え、現場のひっ迫した状態も限界を迎えている」。2つ目がアベノミクスの影響。「ビジネス拡大に向け各社しのぎを削るなか、13年年初から営業職や技術職の求人が増え、14年に事務職や企画職などバックオフィスの求人の波がやって来た」
■経歴以上に企業との相性を重視
景況感の改善で、働き手側も転職に目が向き始めた。「『一生この会社でいいの?』という漠然とした気持ちから、いいところがあるなら転職を考えたいという人が増えている。そんな“切羽詰まっていない転職活動”を通じて、実際に転職を実現する人が増えているのが現状」(インテリジェンスの木下学さん)。なかでも派遣社員の人は、「直接雇用を目指す絶好の機会」と木下さん。「正社員の転職を実現した例は増えています」
採用意欲の高さから、採用決定までの日程もスピードアップ。「転職エージェントに登録して、内定まで平均して3カ月ですが、最近は1カ月半~2カ月で決まる例が多い」(木元さん)。
企業が求める人材に変化はあるのだろうか? 「入社後すぐに活躍してくれそうな人材かどうかを重視。経歴以上に、企業との相性も含めて即戦力になる人が欲しい。そのため面接を重視する傾向に」(木元さん)。木下さんも「経験や語学力が要件を満たしていなくても、この会社で成長してくれそうと判断して採用されるケースが増えている」と話す。
転職を急がない人も、活動するメリットはある。 キャリアの棚卸しや、転職エージェントなどに登録して自分の市場価値が分かるだけでも、今の働き方を見直すきっかけになるはずだ。
~転職のトピックス5~
(1)正社員の事務職の求人が増加
大手企業を中心に、非正規社員の求人がメーンだった事務職の中途採用。「2013年から高度な専用スキルを必要としない事務職ほか、SV(スーパーバイザー)やカスタマーサポートなど、オフィスワーク系の正社員枠が出てきています」(木下さん)。採用人数は少なく、人気もあり競争率は高いが、チャンスは増加傾向。
(2)転職後の平均年収が上昇傾向に
「年収アップ転職を実現した女性が増えている」と木元さん。「リーマン・ショック前のように転職で飛躍的に上がる例は少ない。ただ、若手が業界中位の会社から年収水準の高い業界や上位企業に転身したり、派遣や契約社員が正社員になるなど、雇用形態と職種が変わって年収が上がる事例が出てきています」(木下さん)
(3) 派遣→正社員へのスイッチ例が増える
「事務の正社員求人の場合、以前は非正規社員は書類選考で落ちることも多かったが、面接まで進む人が出てきた」(木元さん)。職種に限らず、正社員転職を実現した例が増えている。その理由として、企業側の意向に「戦力となる人材なら確保したいというニーズが強くなっている」(木元さん)。
(4) 35歳以上の転職成功事例が台頭
「男女合わせた転職年齢調査では、35歳以上の成功事例が増え、2014年は4人に1人の割合にまで増加」(木下さん)。女性の場合、技術職や広報、マーケティングなど専門スキルを持つ人はもちろん、語学力を生かしたオフィス事務で決まる例も。「採用事例が少なかった35歳以上の成功事例が出てきました」(木元さん)
(5) 未経験でもチャンレジしやすく
勢いのある業界や採用人数の多い職種を中心に、未経験転職の成功事例が増えている。「特に人材ビジネスや保険の営業は狙い目。採用枠が二けた単位と大きい」(木元さん)。また未経験でも、若手より年齢を重ねた人が請われる例も。「不動産など高額なものを扱う場合は、社会経験を重ねた30歳前後の人の採用事例が多い」(木元さん)
■納得のいく結果を出すための転職セオリー
●短期決戦が成功の鍵
「何となく転職組も増えていて倍率は上がっている。また、『いつか転職を』と、待ちの体制で活動を続けると、長期化してモチベーションが下がり、結果が出にくいケースが多い」(木元さん)。自分が転職でかなえたいことを整理し、「ここまでに決める」とスケジュールを逆算して動くのが成功の鍵。
●落ちてもへこむ必要ナシと心得て
「特に事務職の場合、採用人数も少ない上に人気なので、書類審査を通過するのは2割程度。誰でも落ちる、くらいに考えて」(木元さん)。「企業との相性とタイミング、つまり縁があるかないかで採用は決まります。能力がないから落ちるわけではないので、落ち込む必要はありません。ミスがあれば、繰り返さなければいいだけのこと」(高村さん)
●できるだけ働きながら活動する
ブランクは意外に大きな落とし穴になりかねない。「リフレッシュしたいからと会社を辞めて、休んでから活動する人がいますが、『この期間何をしたの?』と面接で突っ込まれて痛い思いをすることも。業界研究をしていたなど、やる気と意欲を見せて。ただし3カ月以上空くと『内定が出ない人なのかな』と思われるなど、いい評価につながりづらい」(木元さん)。離職期間が長期化しないよう注意を。
■転職成功の鍵は「逆算」して計画を立てること
1カ月目
[ステップ1] 事前準備(1~2週間)
自分の強みを整理し転職の目的を明確に
これまでの仕事を振り返り、身に付けたスキルや得意なこと、数値で表せる実績などを整理しよう。同時に何を解決・改善するための転職なのかをはっきりさせて。満足の行く転職結果になるかを決めるポイントになる。「強み」と「目的」に照らして、求人情報を収集。興味のある企業を調べよう。
[ステップ2] 応募(2~3週間)
応募する会社の選定と応募書類の作成
志望企業を絞り込んだら、応募書類を作成。応募先は絞り込みすぎず、複数の会社を並行して進めるのが良策。同時期に比較検討でき、納得感を得やすい。採用活動は想像以上にスピーディーに進むので、「やっぱり応募したい」と思ったときには既に締め切られている場合も。迷ったら応募を。
2カ月目
[ステップ3] 面接(1~2週間×面接回数)
面接前の準備時間を応募先ごとに確保
書類選考を通過したら面接へ。面接日は、確実な日程に決めて変更が起きないように。ほかの応募者に先を越されて面接を受けられない可能性がある上、「段取りがよくない」という印象を持たれかねない。十分なシミュレーションをするため、会社ごとに面接の事前準備の時間の確保を。
3カ月目
[ステップ4] 内定(1週間)
入社までのスケジュールを再確認
内定が出たら、入社するかどうか検討し回答。その際、いま一度STEP1に立ち返り、この会社に入ることで「強み」を生かせるか、「転職の目的」がかなうかを冷静に判断しよう。気持ちが固まったら、入社するまでの今後のスケジュールを考え、周囲に退職の意を伝える時期を決めよう。
[ステップ5] 退職交渉・引き継ぎ(4週間)
できるだけスムーズな引き継ぎ作業を
今の会社に退職の意向を伝える。退職1カ月前を目安に直属の上司に伝えるのが一般的だが、各社の就業規則でルールが決まっていることが多いので、早めに確認を。転職先の入社日を変更することのないよう、退職交渉や引き継ぎはスムーズに進めて。転職先の新しい仕事の準備も怠りなく。