転職、経験や年齢不問に 「未経験者歓迎」募集の7割

中途転職、経験や年齢不問に 「未経験者歓迎」募集の7割

人手不足が一段と激しくなっているのを受け、人材を中途採用する際に経験や職歴、年齢などを「不問」にする企業が増えている。「即戦力」あっての中途採用のはずだが、有力転職サイトでは今や求人募集のおよそ7割が「未経験者」の受け入れをうたう。対象年齢も40~50歳代まで伸びてきた。転職の敷居を思い切って取り払い、採用後の職務教育を手厚くすることで乗り切ろうと企業は必死だ。

中途入社しウェブサイトの編集業務を担当するウエディングパークの西村慧さん(中)(東京都港区)

中途入社しウェブサイトの編集業務を担当するウエディングパークの西村慧さん(中)(東京都港区)

「社員を育てる文化が強く、安心して入社できた」。結婚関連サイトを運営するウエディングパーク(東京・港)に今年1月、中途入社した西村慧さん(24)は振り返る。サイト編集や企画などを担当している西村さんは、もともとは結婚式場のウエディングプランナーだ。

同社は同じ職種の経験と企業との相性の2つを基準に中途採用してきたが、昨秋から相性重視に改めた。中途入社の人には指導担当の上司を常時付け仕事を教え込む。

求人情報大手のエン・ジャパンによると同社の転職サイトで募集する中途採用について「未経験歓迎」を掲げる案件の割合は今年7月時点で全体の71%。3年前の53%と比べて大幅に伸びた。

未経験者の採用はサービス職や営業職などに多いものの、近年はシステムエンジニアや研究開発などでも目立つという。食品や化学の研究開発職については61%の企業が未経験者を募集。3年で3倍以上に広がった。

切実な人手不足が条件緩和の背景だ。7月の有効求人倍率は1.52倍とバブル期を上回り約43年ぶりの高水準だ。エン・ジャパンの岩崎拓央・中途求人メディア事業部長は「企業は採用が難しく、特に若い人材は『小さく産んで大きく育てる』という方針にシフトしている」と説明。入社後の実地訓練に新卒並みの時間と手間をかけざるを得ない分、企業のコストは増える可能性がある。

対象人材の年齢を引き上げる傾向も進む。群馬県が地盤で建設機械レンタルを手掛けるニッパンレンタルは、整備士と運転手の採用年齢を大幅に引き上げた。2年ほど前は30歳前後が中心だったが現在は40~50歳代でも採用する。過去1年で採用した8人のうち5人が40~50歳代だった。町田典久専務は「優秀な人材であれば年齢に関係なく採用していく」と話す。

総務省の労働力調査によると2016年の転職者数は前年比3%増の306万人に上る。転職市場の拡大を引っ張るのは主に中高年で、全体の4割弱は45歳以上だ。

採用条件の緩和が進むほど企業と求職者のミスマッチが起き、離職者が増えるリスクとも背中合わせだ。労働市場に詳しい日本総合研究所の山田久氏は「企業は採用に拙速になるのではなく、求職者の性格診断などを実施して自社との相性を客観的に分析することが大事だ」と指摘。今の会社で働くのと並行して転職希望先でも「副業」として働くなど「社会全体で転職が成功しやすい環境をつくることが必要だ」とみている。