中途今後ますます増加する「ライフフィット転職」とは? 自分らしい、生活に合わせた働き方を実現するために
こんにちは。「ワークルールとお金の話」の社会保険労務士 佐佐木由美子です。求人サービス大手のインテリジェンスがまとめた2016年12月の転職求人倍数は2.93倍。中途採用の求人数は、25カ月連続で過去最高を更新しています。今後、ますます増えていくとみられる「ライフフィット転職」について考えてみましょう。
転職先を決め手となるのは
リクルートキャリアが昨年実施した転職世論調査では、転職先を決める際に重視した理由は、男女ともに「平均残業時間」が最も高く(女性76.3%、男性52.6%)、女性の場合「有給休暇取得率」(未婚41.4%・既婚31.3%)も高い割合を示しています。また、転職先を選ぶ際、女性活躍やダイバーシティ(働き方の多様性)などを掲げる会社を意識したかという問いに、女性は48.9%と約半数が意識したと回答しています(リクルートキャリア「第30回転職世論調査」2016年)。
転職といえば、給与面(年収アップ)や会社の将来性といった安定的な生活基盤を求めることが重視されると思われがちですが、昨今は自分の生活に合った働き方を求めて転職、すわなち、「ライフフィット転職」をする動きが見られます。
日本の大企業では、新卒一括採用から始まり、人材育成や人事異動、キャリア形成など、入口から出口までおおむね会社主導で行われ、残業も厭わず猛烈に働き、会社へ尽くすことが美徳とされる風土がありました。そして、仕事と育児を両立できない女性たちは、退出を余儀なくされる状況が長く続いていました。
ところが、労働力人口は減少をはじめ、人手不足が今後ますます深刻化していくことは火を見るより明らかです。そこで国を挙げて、今「働き方改革」の推進が叫ばれています。長時間労働を是正し、柔軟な働き方ができなければ、市場に労働者を呼び込めません。
個人主導の働き方へシフトする企業も
これまでは、企業が提示する一律的な働き方に合わせようとしてきた大勢の人たちが、育児や介護、学業など自分の時間を生み出すための多様な働き方を求めて、能動的に労働条件を交渉しようとする風潮が広がりつつあります。
転職先を決める際には、会社の素地として、休日や休暇がしっかりと確保できることや残業時間が多すぎないこと、転勤がないといった労働条件が、給与や業務内容よりも重視される傾向にあります。自分らしい働き方を企業側が支援する、つまり企業主導から個人主導へと働き方の価値観がシフトしつつあるといえるかもしれません。
そして、自分の生活に合った働き方を実現するために、「ライフフィット転職」が今後ますます広がっていくと見られています。
交渉も大事なスキル
リクルートキャリアの調べによると、転職先企業にどれくらい面接で勤務条件を交渉・相談できたか質問したところ、すべてを伝えることができた(6.7%)、「ある程度は伝えることができた」(64.8%)と、交渉ができた人の割合は約7割(リクルートキャリア「第31回転職世論調査」2016年)。かなり高い割合で、希望する勤務条件等を意思表示していることがわかります。
ここで重要となるのは、どれだけ自分が企業へ貢献できる価値を持っているか。つまり、自分の強みとなるスキルや経験、能力が企業サイドのニーズとマッチするか、ということです。たとえユニークで素晴らしい能力を持っていたとしても、それを必要としてくれる場所でなければ、実力を発揮することができません。
企業側へうまく交渉したり、相談したりするスキルも大切になってくるでしょう。殊に日本人は控えめだと言われており、なかなか自分の本心を他人に明かしたがりません。しかし、最初から意思表示をせずに相手に合わせてしまうと、自分が妥協することになり、どこかに不満が燻ってしまうことになりかねません。
一方、スキル・経験が未熟で実力が伴わないにもかかわらず、「こうしてほしい」「あれはダメ」など、権利ばかりを主張していると、逆に「面倒な人」と嫌煙されてしまうおそれがあります。交渉に際しては、自分が貢献できることや強みをどれだけ持ち合わせているか、点検しておきたいところです。
これから、私たちの働き方は、ますます変化していきます。今自分に何ができるか、これから何をしていきたいかをじっくりと考え、自分を磨き続けることで、理想とする働き方へ近づいていくのではないでしょうか。