IoTが崩す転職35歳限界説 求人25カ月連続最高

中途IoTが崩す転職35歳限界説 求人25カ月連続最高

転職市場が沸いている。求人サービス大手インテリジェンスは16日、2016年12月の中途採用求人数が前月比2.9%増の約15万件と、25カ月連続で過去最高になったと発表した。けん引役はIT(情報技術)人材。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の技術を巡り、幅広い業種が人材を奪い合っている。

ローソンは無人レジの実証実験を開始するなど店舗のスマート化を急ぐ(16年12月、大阪府守口市)

ローソンは無人レジの実証実験を開始するなど店舗のスマート化を急ぐ(16年12月、大阪府守口市)

 

■最新技術あれば50代でも

「最新技術を持っていれば40~50代でもあっという間に行き先が見つかる」。ある求人サービス会社の幹部はこう明かす。IT人材では「35歳転職限界説」は完全に崩れているというのだ。

インテリジェンスによると12月の求人倍率は全体が前月比0.34ポイント上昇の2.93倍だったのに対し「技術系(IT・通信)」は1.09ポイント上昇の9.29倍。リクルートキャリアの調査では16年に転職した40歳以上の組み込み・制御ソフトエンジニアは前年比57%増えた。

IT人材は異業種に散らばっている。IoTの活用は共通テーマ。「リクナビNEXT」の藤井薫編集長は「IoTや人工知能(AI)を外部任せにせず、社内で技術者を抱える動きが強まっている」と話す。こうした人材は40代でも引く手あまたなのだ。

「異なる背景を持つ人材を集めれば新しい発想が生まれる」。タクシー大手の日本交通(東京・千代田)の配車アプリ開発子会社で人事担当を務める小川成子氏は語る。開発子会社の社員50人はすべて転職組。17年も30人程度を採用する。

ファナックは工作機械のIoT対応を急ぐため16年12月にソフト開発者100人の募集を開始。異なるメーカーの機械をネットでつなぐサービスを今年9月に発売する計画で、生産管理システムなどの開発に充てる。日立建機は情報通信技術を駆使して簡単に操作できる建機を拡充。顧客の導入支援のために17年3月期に初めてIT人材を中途採用し、その数は10人前後の見込みだ。

■カムバックも大歓迎

小売業も同じ流れに乗る。ローソンは16年1月に経営コンサルティング会社のシグマクシスとIT開発の共同出資会社を設立。社員約50人のうち約5割を外部から招いた。原材料調達や物流、店舗運営を支える次世代型システムを開発する。

IT企業も必死だ。「また戻りたいのですが……」。富士通の人事部門にこんな連絡が増えている。契機は昨年始めた「カムバック制度」。転職しても5年以内なら復職できる。労政部の黒川和真マネージャーは「専門性が高く社内事情に精通した人材は貴重だ」と語る。17年3月期の中途採用計画は前期と同程度の100人。カムバック歓迎は、それでも人材の不足感を補えないからだ。

インテリジェンスの木下学・DODA編集長は「17年も求人数増加が続きそうだ」と予測する。中途採用の巧拙が企業の競争力に直結する時代となってきた。