売り手市場の新卒採用戦線 人気ランキングと株価の相関性

新卒売り手市場の新卒採用戦線 人気ランキングと株価の相関性

5月末日の31日は4月完全失業率と有効求人倍率の発表がある。3月の有効求人倍率は1.30で、市場予想を上回る24年ぶりの高水準だった。訪日外国人の増加で、飲食サービス業など全国的に人手が不足ぎみなので、4月も同じような高い数値が見込まれる。

労働環境のひっ迫ぶりは、就活シーズンたけなわの新卒採用の動きにも出ている。文部科学省と厚生労働省がこのほど発表した今春卒業の新卒大学生の就職率は、97.3%で96年度の調査開始以来で最高となった。国公私立62校の4770人を集計したデータで1年以上の非正規採用を含む。

今春の高卒就職率も高水準だった。就職率はリーマンショック前後の採用絞り込みの反動や、インバウンドとオリンピック景気の好影響で高水準と見込まれる。今シーズンも学生側が企業側を選ぶ余地が大きい「売り手市場」のもようだ。

株価を物色するとき、最新の就職人気ランキングは貴重な判断材料の一つかもしれない。大学生の間での人気の高低は株価水準の評価のモノサシともなりうるだろう。なぜならネットや「口コミ」で広まる情報が影響を及ぼすからだ。休日が不規則とされる流通サービス業種は敬遠されがちでランキングも低い。逆にトヨタ自動車(7203)サントリー食品インターナショナル(2587)が属するサントリーグループは超難関で憧れが含まれるものの、高い人気を誇っている。

やはり総じて高いのは大手銀行や損保、不動産、空運だ。女子大学生の間では、明治ホールディングス(2269)の人気が高いが、同社は乳酸菌飲料の大ヒットで業績が向上し、株価が人気に追いついたとも言える。逆に意外なのは、有名大学の人気上位に顔を出すりそなホールディングス(8308)。明治ホールディングスのように業績が化ける前触れならば、投資のタイミングは“逆張り”を示唆している。

そんな中、来春の入社予定人数を確保した人気と実力を誇る著名企業は、すでに1年後の採用活動に向けて動き出す。今年3年(修士1年)に進級したばかりの有名大学の学生・院生へのアプローチだ。夏休みにインターン(就業体験)を募集する解禁日が近づいたので、その“合同説明会”が都内で開かれているらしい。

その一つの参加企業リストを垣間見ると、外資系コンサルタントや証券など高い人気を誇るグローバル企業に交じってソフトバンク(9984)楽天(4755)サイバーエージェント(4751)ディ・エヌ・エー(2432)ニトリホールディングス(9843)といった国内の新興大手が堂々名を連ねていた。

「企業は人なり」という。グローバル企業に躍進しようとの意気込みがある新興企業は、一人でも多くの優秀な新卒を採用しようと貪欲だ。「サマーインターン」募集から本気モードを示す。これは業績拡大に向けたエネルギーにも通じる。大学生らの最新の生の声に耳を傾けながら採用動向を物色の基準にしてみるのも面白いだろう。