新卒インターンシップで気をつけたい「落とし穴」 夏休みから3年生の就職活動がスタート!
2017年卒の就職活動が6月からの面接選考開始に向けてクライマックスになってくると同時に、多くの大学では、2018年卒向けの就職ガイダンスがスタートしています。それは、3年生の夏休みを有効活用して欲しいと考えてのこと。この数年は特にインターンシップが推奨されています。
大学生の就職活動スケジュールは、この5年で3回の変更がありました。それらを経て、活動期間はどちらかというと短縮化。そして、就職活動をスムーズに進められる人とそうでない人の差が一層広がっています。
これは企業側も同じ。特にBtoB企業や中小企業など、学生が普段の生活の中で知る機会が少ない企業ほど、苦戦を強いられる傾向です。そんな両者の差を埋めるボトムアップ策の一つとして、急速に注目を集めているのが「インターンシップ」。しかもその実態はこの2年ほどで大きく変わっているのです。
今や6割の企業がインターンシップを実施
100年以上前にアメリカで生まれたとされるインターンシップ。日本では90年代後半から外資系企業を起点に導入され始めましたが、求人意欲の高まりや就職採用活動スケジュールの変更を背景に、この2~3年ほどで一気にその裾野が拡大しています。
就職みらい研究所の『就職白書2016』によると、新卒採用実施企業のうち、インターンシップを実施した企業は59.5%(前年比9.6ポイント増)。うち従業員数300人未満の企業では40.1%(同7.5ポイント増)と、中小企業も含めてかなり導入が進んでいることが分かります。
ところで、インターンシップとは何でしょう?まだまだ発展途上の側面もあり、あらためて問われると説明が難しいと感じることもあります。
一般的には、学生が企業等において実習・研修的な就業体験をする制度であるとされていますが、日本では「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と、幅広く捉えられているのが実態です。
インターンシップにはいくつか種類があります。プログラム別にみると、概ね①仕事理解型、②採用直結型、③業務補助型、④課題協働型、⑤事業参画型の5つに分類できます。①②は体験中心で数日~数週間の場合が多く、③④⑤は実践中心で数週間~数カ月の傾向です。
また、大学等のカリキュラムとの連携度合いによっても分類することができます。大きくは(A)全学型、(B)学部・学科実施型、(C)自己開拓型の3つです。
仕事理解型、自己開拓型が増加
(A)全学型は、大学と受け入れ期間との間で協定を結んで実施されるスタイル。専門課程に進む前の低学年(1~2年生)の必修課程と位置付けているものもあれば、全学年を対象とした単位認定なしのものもあります。
(B)学部・学科実施型の多くは、学部・学科の授業の一環として行われるもの。(A)も(B)も単位認定がある場合は、履修登録が必要で、かつインターンシップ事前・事後の研修も含めた一定時間以上のプログラムとなっています。
一方、(C)自己開拓型は、各企業等が独自に実施しているプログラムで、単位認定がない場合がほとんどです。内容も非常にバラエティに富んでおり、どちらかというと短めのものが主流です。
こうした類型別の実施割合に関する公的な統計数字は今のところありませんが、特にこの2~3年で増加しているのは、プログラム別では①の仕事理解型、大学との連携度合い別では(C)の自己開拓型だと捉えています。
前述の『就職白書』をさかのぼると、2014年度にインターンシップを実施した企業に、その実施期間を尋ねたところ、最も多かったのは「1週間以上2週間未満」で32.7%に上っていました。ところが、2016年度(予定)では9.7ポイント減少の23.0%に。替わって2014年度は22.2%だった「1日」が、13.0ポイント増の35.2%で最大となっています。
学生にも同様に参加期間を尋ねると、2014年度の最大は「3日以上1週間未満」で35.0%だったのが、2016年度はやはり「1日」で、しかも53.2%と半数以上にのぼっていました。
たった一日で「就業体験」なんて、果たして可能なのでしょうか?
実際に1日プログラムに参加した学生は「事業内容などの説明の後は、グループに分かれてフィールドワークを体験。猛スピードで進んでいる感じだったが、その業界や仕事に対する理解が深まり、いい機会になった」と話します。
1日プログラムの多くは、冒頭に業界の仕組みや仕事の特性などのレクチャーを受けた後、社内や関連企業の現場の見学を経て、実際の顧客対応等のロールプレイングを行い、顧客役の先輩社員等からフィードバックをもらった上で、体験の中での気づきを振り返って終了、といったものです。
実際の営業現場に同行し、その感想をまとめてプレゼンする、といったパターンもあります。いずれも“ダイジェスト版”の就業体験と言え、その仕事を深く理解するには時間が足りないのは明らかですが、自分はその仕事で活躍できそうか、その仕事に携わることでワクワクできそうか、といった感覚的なものは、机上で企業研究するよりもずっとスピーディに多くのことが得られるはずです。
こんな落とし穴に要注意!
一方で、参加してみると「1日のプログラムだったが、単なる会社説明会」「4週間受け入れてもらったが、アルバイトと変わらなかった」という声があるのも事実です。期間もさることながら、プログラム内容を吟味することで、その経験を有意義なものにすることができそうです。
またインターンシップの内容によっては、インターン生が「労働者として、使用者から業務に係る指揮命令を受ける者」とみなされることがあります。そうした場合、企業は労基法等の労働法規を遵守しなければなりません。参加する学生側もそれを認識し、不当な条件でないか等を確認するように心がけて欲しいと思います。
一方で、参加学生が、例えば物を壊してしまうなど、受け入れ企業に損害を与えてしまう可能性も考えられます。そうした場合に備えたインターンシップ保険などもありますので、万一を想定して保険加入しておくとよいかもしれません。
もう1つ、学生の常識が通用しないケースも多々あることも意識する、特に情報管理については、細心の注意を払う必要があります。例えばSNSでの発言等でのルール・マナーをしっかり守るなど、後々のトラブルを回避するよう努めたいところです。
このように、プログラム形態や期間などが多様化し、ややもするとわかりにくく、また参加する上での留意事項もいくつかあるインターンシップ。しかし、進路選択に有益な情報を得るチャンスであることは、間違いありません。
学生の皆さんにはぜひ、自分がこのインターンシップ経験を通じて何を得たいのか、それを叶えるプログラムは一体どんなものかをしっかり吟味して、貴重な機会を有効活用して欲しいと思います。