新卒激動の採用市場を勝ち抜くヒント。人事担当者が新卒採用の新潮流を学ぶ
@人事編集部は2016年4月21日、東京・御茶ノ水のソラシティカンファレンスセンターで、人事担当者のためのアカデミックイベント「@人事アカデミー Vol.5」を開催した(写真)。第5回目のメインテーマは「新卒採用」。「早期接触」と「ダイレクトリクルーティング」をキーワードに、業界を代表するダイレクトリクルーティングサービスの3代表が講師を務め、ナビ媒体に頼ることなく新卒採用で成果を上げる企業の戦略と最新の採用手法など紹介したほか、参加した人事担当者や経営者と交流を深めた。
ダイレクトリクルーティングへ人事が高い関心。プログラムには9割以上が「満足」と回答
新卒採用の環境がますます激化するなか、優秀な人材の獲得に成功している企業に共通するキーワードは「早期接触」「インターンシップ」、そして、いま最も注目を集めている「ダイレクトリクルーティング」があげられる。ナビサイトの利用を止めたり、依存度を下げたりする企業が増えている中、重要な採用手法としてダイレクトリクルーティングが存在感を増している。
採用活動期間真っ只中の4月中旬にも関わらず、多くの人事担当者らが駆けつけたのは、厳しい新卒採用を”勝ち抜く”ため、ダイレクトリクルーティングへ寄せられた期待感の表れとも言えるのではないか。
セミナー後には講師との交流も
- 今回、講師を務めたのは、日本最大級のスカウト型採用イベント「出会いの場」を運営するDEiBA Company の清水達也氏、スカウト型の新卒人材特化型マッチングサービス「iroots」を提供するエン・ジャパンの小笠原寛氏(元INNOBASE代表)、1,300社以上が利用する新卒ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」を提供するi-plugの中野智哉氏。そして、基調講演にライフネット生命保険の出口治明氏が登壇した。
- 各プログラムでは、大きく環境が変化した2016卒採用の精緻な分析や、2017年卒採用の傾向と対策、新卒採用で成功する企業がとる戦略などが披露され、ダイレクトリクルーティングに関する知識に加え、新卒採用や教育、人材育成に課題を持つ人事担当者にとって示唆に富む有益な情報が提供された。
セミナー終了後に実施した講演プログラムの満足度についてのアンケート調査の結果では、「大変満足」が23.3%、「満足」が73.3%と答え、9割以上の高い満足度を示している。
@人事編集部は今後も、人事担当者や経営者に役立つ情報発信と交流の場として「@人事アカデミー」を開催していく予定だ。
セミナーダイジェスト
「ダイレクトリクルーティングは学生の10人に1人が利用している」
タイトル:拡大する「新」採用手法-なぜ大手企業が新卒ダイレクトリクルーティングを始めるのか-
講師:株式会社i-plug 代表取締役 中野智哉氏

i-plug 中野智哉氏
採用市場の変遷とダイレクトリクルーティングの事例について紹介。「優秀な人材=活躍する人材」の定義がかつての「アカデミックスマート」と呼ばれる、正解がある答えを探す人材(偏差値の高い高学歴層)から、「ストリートスマート」という正解がない答えを探す人材(現場対応力の優れた人材)が活躍をするようになってきているものの、いまだに学歴重視で採用する企業が多いため、偏差値は高いもののフィットしていない現状があると説明。
大手企業はブランド力もあり、偏差値の高い学生が大量にエントリーをするものの、ストリートスマート人材を効率的に採用することが難しいため、ダイレクトリクルーティングを活用して成果をあげていることを、成功企業の実例で紹介した。
「ダイレクトリクルーティングは大手、中堅、中小、ベンチャーに関係なくかなり浸透している。特に浸透しているのは学生。10人に1人が使っている。ではいかにその学生を採用できるか。会社の経営戦略にもとづき、人事戦略、採用戦略としてどうするかを考えときに、新しい手法の1つとして、ダイレクトリクルーティングの活用を考えていくべきではないかと思う」
「権限付与の基本的な考え方、秩序の感覚をもっていない会社が非常に多い」
タイトル:採用と同じくらい大事な「任せ方」について
講師:ライフネット生命保険株式会社 代表取締役会長兼CEO 出口治明氏

ライフネット生命保険 出口治明氏
任せ方のポイントとして、「人をしっかりと面倒を見ようと思ったら10人が限界」、「人を使うということは気持ち良く働いてもらうこと」、「自分の経験に基づく、根拠なき精神論は同じ価値観を持つ人にしか通用しない」の3つを挙げ、それぞれを身近な事例を用いて説明した。
さらに、任せ方のなかで一番誤りやすい点が「上位代行」であるとし、「上に立てば個人商店の店主の感覚になってしまい、俺はなんでもオールマイティだと思ってしまう。権限を決めた決めた以上は、与えたことは取り戻すはできても、その人をクビにすることはできない。それが任せ方、権限の付与の基本的な考え方であり、この秩序の感覚をもってない会社が非常に多い」と指摘した。
また、来場者から、「プレーヤーをマネージャーに昇進させるときの見極めのコツを教えて欲しい」という質問に対し、次のようにアドバイスを送った。
「コツは2つあって、1つはその人が上に立ったときに下の人がついていくか。どれだけ優秀なプレーヤーで仕事がバンバンできても、人がついてこなければ何もできない。人間は感情の動物ですから、喜んでその人のもとで仕事ができるか。もう1つは、目をつぶること。細かいことについて解ってるんだけど、知らんぷりして目をつぶってあげる。その能力が大事だと思いますね」
「ナビ前に7割の企業が何らかの方法で学生と接触している」
タイトル:2017年採用戦線特徴と2018年の採用動向から見る、早期から優秀人材を獲得する方法
講師:株式会社DEiBA Company 代表取締役 清水達也氏

DEiBA Company 清水達也氏
2016年新卒採用の傾向の分析、2017年採用戦線の途中経過、それらをもとにした2018年採用のポイントをデータ、アンケート調査などを用いながら解説した。
2015年が面接のタイミングと内定出しのタイミングが同じ4月でピークを迎え徐々に落ちていくのに対し、2016年は書類選考が3・4月がピークを迎え、内定出しが6月にひとつ小さな山があり、その後8月に大きな山ができており、「3・4月の動きが緩慢な中で動いてったのが特色」と説明。一方で、3月1日のナビサイトオープン時点から学生に接触した企業の割合が30%しかいないとし、「ナビ前に7割の企業が何らかの方法で学生と接触しているマーケットになっていた。インターンシップや早期のイベントに出るという流れが極めて強くなった年だったとういうのが2016年」と指摘した。
またこれらの結果を踏まえ、2018年卒採用に向けては次のように見解を示した。
「2016年卒であれだけインターンシップ参加企業、参加学生数が溢れている。今年の状態でいうと多分もっと増える。来年はさらに増える。3月1日のナビがオープンしてから、就職戦線に参入する企業はもうないと考えてよい。いずれにせよ2018年卒採用は早くから動かなければいけない」
「最初から企業がほしい人材に対してアプローチできる環境が必要」
タイトル:学生の本音から紐解くこれからの採用のあり方
講師:エン・ジャパン株式会社 iroots事業責任者 小笠原 寛氏[元INNOBASE 代表取締役]

エン・ジャパン 小笠原寛氏
「学生の本音」として、irootsに登録している2017年卒業予定の学生の中から、「現状を変えたい」「新しいものを生み出していきたい」という志向を持つ学生を選んで実施したアンケート調査の結果を紹介。
そのうち、説明会に対する提言として、「最初から企業がほしい人材に対してアプローチできる環境が必要」「少人数座談会形式のものを増やして欲しい」「WEBで説明会をしてほしい」「東京と地方で格差。ITをもっと積極的に活用するべき」など学生の意見を紹介。今後、説明会を実施して行く上でのポイントとして「少人数で学生となるべくワントゥワンで接することと、せっかくこのような時代なのだからスカイプによる面接などITをどのように駆使するか」の2点を挙げた。
また、小笠原氏自身が採用の責任者を経験してきた当事者として、次のように意見を述べた。
「私自身スカウトサイトに魅力を感じて4年もやりつづけている理由は、いまの選考方法がどうしても無駄が多いと思っているから。必要なのは選択と集中で、選考にかかる工数もスカウトを活用することで効率化できる」
「@人事アカデミー Vol.5」概要
【セミナータイトル】
「ここまで変わった新卒採用!ナビ媒体ではもう採れない!? 早期接触とダイレクトリクルーティングの新潮流~ 新卒採用で勝っている企業はこうしてる~」
【セミナープログラム】
基調講演:採用と同じくらい大事な「任せ方」について(ライフネット生命保険株式会社 代表取締役会長兼CEO 出口治明氏)
講演:ナビに頼らないで、早期から優秀な人材を獲得する方法(株式会社DEiBA Company 代表取締役清水達也氏)
講演:学生の本音から紐解くこれからの採用のあり方(エン・ジャパン株式会社 iroots事業責任者小笠原 寛氏[元INNOBASE 代表取締役])
講演:拡大する「新」採用手法-なぜ大手企業が新卒ダイレクトリクルーティングを始めるのか-(株式会社i-plug 代表取締役中野智哉氏)
【開催日時・場所】
■開催日:4月21日(木)13:00~18:00
※セミナー後に参加者と講師の交流会を実施
■会場:ソラシティカンファレンスセンター sola city Hall【EAST】
■主催:株式会社イーディアス「@人事編集部」