新卒就活支援ベンチャー競う 会社説明会あす解禁 学生も企業も利用
3月1日の会社説明会解禁で2017年卒の就職活動が本格的に始まるなか、ベンチャー企業の就活支援サービスが人気を集めている。人手不足を背景に売り手市場といわれるものの、自分にあった就職先を探すハードルは高い。これまで就活支援は大手の人材サービス会社が中心だったが、採用活動期間の短期化もあり、企業も優秀な人材を早めに確保しようとベンチャーの新サービスの利用に積極的だ。


就活シェアハウスでは学生同士が情報交換する(東京都練馬区)

エンリッションの「知るカフェ」は店内に協賛企業のロゴマークを掲示(東京都港区)
専用シェアハウス
「最近は都内で1泊3万円するビジネスホテルもある。同じ3万~4万円で1カ月滞在できるのはとても助かります」
東京都練馬区の住宅街にある2階建ての一軒家。北海道から上京してきた釧路公立大学の男子学生(21)は仲間と就活の悩みなどを話し合う。
この男子学生が住んでいるのは、地方のミカタ(東京・新宿)が運営する就活生限定のシェアハウスだ。6LDKの家に全国から集まった18人の就活生が暮らす。
同社のシェアハウスの15年の利用者は14年比2倍の670人。今年は2~3月に新たに4軒を開設。9軒に増やして16年は1000人以上の利用を見込む。
経団連に加盟する大企業は3月1日、会社説明会が解禁される。今年は1~2月に各社のインターンシップ(就業体験)が集中したため、年明けから実質的に就活に取り組んでいる学生も多い。
今年の就活スケジュールは3~5月に学生がエントリーシートを提出し、企業は説明会を開く。6月から試験・面接が始まり10月に内定式という流れになる予定だ。内々定は6月以降に順次出る見通しだが、数カ月単位で東京や大阪などに滞在しなくてはならない学生もいる。
都内のホテルは訪日外国人客ラッシュで料金が高騰。「滞在費用が就活生の重荷になっている」(岩本洋樹代表取締役)。人材サービスのディスコによると15年の就活にかかった費用は、首都圏に住む学生も含めて平均約16万円。今年はさらに高くなる可能性もある。
大学前にマッチングカフェ
大学のキャンパス前に無料のカフェを開き、学生と企業の出会いの場にしているのが、エンリッション(京都市、柿本優祐代表取締役)だ。「知るカフェ」の店名で多店舗化。15年には店を倍以上に増やし、東京大学や早稲田大学、同志社大学など11大学でマッチングサービスを手がける。
店の運営費は企業からの協賛金。1店あたり年間120万円でカフェにロゴを掲げたり、ミニ会社説明会を開いたりできる。参加する約200社のうち7割が三井物産やロームなどの大手だ。
1店の利用者は月に2000人以上。企業の説明会は本社やイベントホールで開くのが一般的だが「講義の合間にカフェで気軽に参加できる」(田口弦矢常務)。企業にとっても「少人数の大学生にきめ細かい説明ができるなど攻めの採用活動ができる」(三井物産の人事担当者)という。
面接、指名待つサイト
学生が企業から採用面接の「オファー」を受けるサービスもある。アイプラグ(大阪市、中野智哉社長)のオファーボックスだ。従来の就活サイトは学生が志望する企業にエントリーシートを提出して面接を受けていたが、このサイトは逆に企業がお目当ての学生を指名できるのが特徴だ。
サイトでは学生が私生活の写真や熱中してきた経験などを公開。採用担当者が自社の社風や事業内容に合った学生に絞り込み接触できる。企業側の熱意が学生にも伝わりやすい仕組みだ。
「企業は学生の普段の姿を知りたい」(中野社長)。学生も自分の経験や意気込みを買ってくれる企業を求めている。このため採用後にミスマッチが起きて「内定辞退や退職といったトラブルが起こる可能性を抑えやすい」(同)という。
2017年卒の学生の登録は2万人を突破。企業も約1400社が登録する。企業は採用が決まると1人30万円を払う。16年3月期には前期比2.5倍の2億5000万円の売上高を見込む。