新卒就活日程見直し/柔軟な採用制度の検討を
新卒大学生を対象とした来年度の就職活動の日程が揺れている。経団連は採用の選考解禁を8月から6月に早める方向だが、大学側は改善策を講じることを前提に現行通りの実施を求める考えだ。
政府は4日、就職活動の問題点を検証するため、経済団体や大学側の関係者を集めて実務者会合を開いたものの、立場の違いが表面化、調整の難しさをうかがわせた。
学業の時間確保を求める安倍晋三首相の要請を受け、経団連はことし採用選考の解禁を8月に4カ月遅らせたばかり。確かに真夏の猛暑とも相まって学生、企業双方から不評だったが、日程の見直しだけに論議を集中させても根本解決には至るまい。朝令暮改的な日程変更に翻弄(ほんろう)される学生への影響を何より優先し、対応するべきである。
経団連はことし、会社説明会の解禁を大学3年の12月から3月に、面接など選考開始を4年の4月から8月にそれぞれ繰り下げ、正式内定は10月1日のままとした。
ただ、経団連の会員以外の中小、外資系企業は早めに面接を行い、内定を出す動きが相次いだ。従来、大企業、中小企業の順だった選考時期が逆転した形だ。
その結果、学生を囲い込み就活を無理やり終わらせる「オワハラ」が横行、大企業の内定を得た学生が決まっていた中小の内定を辞退するケースが増えるなど混乱した。経団連会員社にも日程を守らない例があった。疑心暗鬼にかられ、不安の中で就活に臨んだ学生も多かっただろう。
就職情報会社が、来春卒業予定の大学生・大学院生を対象に実施した調査によると、日程変更の影響をマイナスに受け止めたのは79.3%に達した。プラスに評価したのは20.7%にとどまった。
マイナスの理由は「暑い時期に活動」「卒論など学業の妨げ」「水面下で動く企業があり、状況が把握しづらい」「就職活動が長くなった」「先輩の就活経験が生かせなかった」-などだった。
経団連は11月中にも新たな採用指針案を決める予定で、会社説明会の解禁日は変えず、選考は6月に早める方向。7月では大学の期末試験と重なり、4、5月では選考までの期間が短過ぎるためだ。
厚生労働省と文部科学省の調査によると、今春卒業した大学生の就職率は4月1日時点で96.7%だった。前年同期比2.3ポイント増で4年連続の上昇。企業の採用意欲は高く「学生優位の売り手市場、優秀な学生の争奪戦激化」の傾向が続きそうだが、学生の不安は拭えない。
選考日程の問題を突き詰めれば新卒一括採用に行き着く。就職が決まらなければ仕方なく留年し、翌年「新卒」として再挑戦する学生もいる。就活が採用側の都合を優先し過ぎているのではないか。
日本世論調査会の教育に関する調査で、新卒一括採用について、変えた方がよいが70%を占めた。仕事への理解が不十分なまま就職すれば適性とのミスマッチが生じ、早期の離職にもつながる。大学卒業後も一定年数を猶予期間とし、既卒を排除しない採用制度の導入も検討するべきだ。