新卒新就活スケジュール、「抜け駆け」横行の実態 選考後ろ倒しで企業も学生も疲れ切っている
いったい誰のための就職活動(就活)なのか。8月1日から2016年3月卒の大学生・大学院生の就活が本格的に始まった。今年は経団連が採用スケジュールを変更。3月に会社説明会、8月に選考(面接)開始、10月に内定式と、2015年卒よりも4カ月後ろ倒しになった。だが現場ではさまざまな問題が生じている。
そもそも経団連に加盟していない企業は、新スケジュールを守る義務がない。一部の外資系企業は例年どおり、昨夏のインターンシップで優秀だった3年生を対象に、2014年12月からの選考で早くも内定を出していた。また、楽天やDeNAなど経団連非加盟の大手企業も、早い段階から動き出している。
加えて今年は中小企業が早い段階で採用活動を本格化。従来なら大手の活動が落ち着いてからスタートしていた。しかし、新スケジュールに合わせて、大手が終了した後に活動を始めるのでは、10月1日の内定式まで時間がない。そこで多くの中小は今年4月から着手したのだ。
経団連加盟企業も動いていた

こうした動きに経団連企業も安穏としていられない。一部大手は3月から、OB・OGをリクルーターに学生を囲い込んだり、会社説明会と同時に実質的に選考したりするなど、活動を展開。これまでは外資、大手、中小の順で、選考が行われていた。が、今年は最後に人気の大手が控え、中小の内定を持ったまま、就活を続ける学生が多い。
マイナビの調査では、選考開始前日(7月末)時点の内定率は、なんと57%。2015年卒の選考開始前日(3月末)の内定率、16.4%と比較すると、今年は異常に高い。
スケジュール変更の影響を受けたのは、理系学生と公務員志望の学生だ。理系学生にとって、4年生は研究のための重要な時期だが、就活で研究に集中できない。
また公務員試験は、6~8月が多いために、就活と重なってしまう。教職課程を履修している学生も、6月に教育実習に行くケースがほとんどで、その間は企業訪問ができない。明治大学法学部のある学生は、「就職を考えて教育実習に行かないことにした」と、教員免許取得をあきらめてしまった。
実質的に就活は早まってしまった
結果的にスケジュールの後ろ倒しは、就活を実質的に早め、むしろ長期化させている。3年生の6月にインターンシップの選考を受け、夏休みにインターンシップに参加した学生が、4年生の8月になっても就活を続行すれば、就活期間は1年間を優に超える。
長期間の就活に疲れ果ててしまい、途中で妥協した学生も少なくない。日本大学経済学部のある学生は、6月に中堅住宅メーカーから内定を獲得。すると、会社からイベントに頻繁に呼び出され、メンター役の若手社員からよくメールが届くようになった。結局「いろいろな業界を幅広く見る予定だったが、就活に疲れたのでここでいい」と入社を決めたという。
就活の長期化は、学生には内定を断れない雰囲気を作り、企業側は内定者を囲い込むオワハラ(=就活終われハラスメント)を起こしかねない。形骸化した新スケジュールは誰にもメリットのないまま進んでいるようだ。