新卒初日から内々定も 16年春入社の就活本格スタート
2016年春入社の大学生・大学院生の就職・採用活動が1日、本格的に始まった。東京海上日動火災保険など有力企業が同日から面接を実施した。景気回復などを背景に学生優位の売り手市場となっているため、他社に優秀な人材を奪われまいと初日から内々定を出す企業も現れた。
厳しい暑さにもかかわらず、リクルートスーツを着た学生がオフィス街にあふれた。この日、有力企業が一斉に面接を始めたのは、経団連が選考開始時期を従来の4月から8月に遅らせる新ルールを導入したためだ。
東京海上日動は東京都渋谷区の研修施設を会場に約1000人の学生を面接した。15年春入社よりも約100人多い740人を採用する計画。優秀な学生の確保のため担当者は「面接を通じ自社の魅力を十分に伝えたい」と語る。三菱地所は東京・丸の内の本社などでグループ討議による選考会を開き、LIXILグループは東京都と大阪府で面接を実施した。
新ルールに従い選考を始める企業がある一方、“抜け駆け”した企業も少なくないようだ。
慶応義塾大学の女子学生(22)は1日、「大手素材メーカーから内々定をもらった。興味のある業界から得られてほっとした」と話した。中央大学の男子学生(22)も大手銀行から内々定を得た。「早く決まってうれしいが、納得できるまで続けたい」と別の大手銀行の会場に向かった。
1日に内々定を出した企業の多くは7月までに「面談」と称して学生を呼び出したり、社員が出身大学の学生と接触したりして実質的な選考を水面下で進めていたとみられる。ある大手化学メーカーは「他社から内々定をもらったことを理由に選考辞退者が多く発生した」とこぼす。
リクルートワークス研究所によると、16年春卒業予定の大学生・大学院生の求人倍率は1.73倍と4年連続で上昇している。「小売りと外食の大手2社から内々定をもらったが、メガバンクに行きたいので活動を続ける」(東洋大学の男子学生=21)。学生優位の売り手市場が鮮明になっている。
ファーストリテイリングは通年採用を導入し、1日以前から選考を進めて内々定を出している。外資系や中小・新興など、経団連に加盟していない企業では4~6月に内々定を出しているケースが多い。売り手市場のなか、新ルールに縛られない企業が先行していることもあり、少しでも早く内々定を出して必要人数をそろえたいという不安と焦りが一部の加盟企業に広がっている。

