新卒人材確保業種で明暗…大卒就職率96.7%
商社、金融人気 小売り、サービス苦戦
2015年3月に卒業した大学生の就職率が、08年秋のリーマン・ショック前の水準を回復した。
業績の回復で企業の採用意欲が高まっているためだ。特に学生の人気が高い金融業界や大手商社には応募者が集中している。一方で、流通やサービス業では予定した採用人数を確保できない企業も多く、業界によって明暗が分かれている。
ゆとり世代「安定志向」
■大手に集中
大学生の就職率は前年比2・3ポイント増の96・7%に上昇した。大手企業が採用者数を増やしていることが主因だ。
みずほフィナンシャルグループの15年4月の採用者数は約1380人(一般職含む)で、前年に比べ約30%増やした。09年(約2285人)以来、6年ぶりの高水準だ。円安で自動車輸出が好調な富士重工業も今春に519人が入社、5年前の10年の2・3倍に増えた。
大手商社や金融業界では、採用者数を増やしたにもかかわらず、「採用予定の数十倍の応募者が殺到」(大手商社)している。伊藤忠商事は今年4月に入社する一般職の新入社員を募集したところ、12人に対して184倍となる2219人の応募が寄せられた。
銀行などの人気が高い背景には、学生の安定志向の強まりもあるようだ。15年春に卒業した大学生の多くは、小中学校時代、学習内容が大幅に削減された教育を受けた「ゆとり世代」だ。「出世を目指して懸命に働くよりも、業績の安定した大企業でじっくり働ける仕事を好む傾向が強い」(就職情報会社)との指摘もある。
■学生が敬遠
一方、小売業や飲食業では十分な採用人数を確保できないケースが目立つ。
就職情報会社「マイナビ」の調査では、小売業界では15年春の入社について、平均で前年より11・1%増の採用を計画していた。だが、実際に採用できた数は前年の実績に比べて2・8%減にとどまった。サービス・インフラ(社会資本)業界でも平均22・4%増の計画に対し、6・9%増しか採用できなかった。
小売業は不規則な勤務体系もあって、製造業などに比べ離職率が高い傾向にある。ある外食大手は「労働環境がきついとのイメージが定着し、学生から敬遠されている。優秀な学生を確保するため外国人採用を強化せざるを得ない」と話す。
マイナビの調査担当の石田力氏は「企業は慢性的に人手不足となっており、学生の就職率の上昇につながっている。企業は16年春の採用者数を15年春より1割強増やす見込みで、人材確保競争はより激しくなるとみられる」と話している。

