新卒大卒採用、16年春14%増 電機・鉄鋼で旺盛 本社調査
日本経済新聞社は28日、2016年春の採用計画調査(1次集計)をまとめた。大卒採用計画数は15年春の実績見込みに比べて14.2%増と5年連続で2ケタ伸びた。好業績や国内生産の回復で電機や鉄鋼などの意欲が高く、非製造でも小売りなどが旺盛だ。採用活動期間の後ずれで人材獲得競争も激しい。労使交渉での高水準の賃上げとともに景気の好循環を後押ししそうだ。

製造業の大卒採用は15年春比で12.3%増。業種別では、電機(22.3%増)や繊維(26.6%増)の伸びが目立った。次世代技術の開発を担う人材として理工系の採用も増えている。
増加の要因の一つは企業が構造改革を終えて再び成長に向けて動き出したことにある。リストラにめどを付けたソニーは大卒・大学院卒を約300人を採用する計画で、15年春と比べて8割増となる。成長事業の画像センサー分野で採用に力を入れる。パナソニックも新事業創出に向けて大卒を1割増やすという。
円安による業績の改善や国内生産の回帰も追い風だ。鉄鋼は高卒を含めると33.5%増。ベテラン社員の退職が相次ぐなか、国内生産を維持していくために若手社員の確保していく。
新日鉄住金は1620人を採用する計画で15年春比で9割増やす。なかでも製鉄所の操業・整備職は2倍以上にする。同社の進藤孝生社長は「技術の確実な伝承が競争力の源泉。若手人材の育成を急ぐ」と話す。
トヨタ自動車は円安を追い風に15年3月期は最高益を更新する見通しで採用にも前向きだ。高卒などを含めた採用数は2045人と15年比で約500人積み増す。同社は「安定した国内生産体制を維持する」として、車の組み立てに携わる技能系を4割増の約1000人とリーマン・ショック前と同水準とする。
非製造業の大卒採用は15年春実績比で15.3%増。人手不足が深刻な小売業や外食が積極採用に動く。ファーストリテイリンググループは3割増の約1200人と過去最高だ。「ユニクロ」の海外展開を支えるグローバル人材を育てる。日本郵政グループは16年春の採用計画数を約400人増の約6540人とする。
経団連は学業を優先させたい大学側からの要請を受けて、今回から選考解禁を大学4年生の8月に後ずれさせるなどの指針を定めた。企業も対応策に追われ「大学内説明会の開催」やインターンシップ(就業体験)制度を強化している。
今回の変更で就職活動期間が実質短くなり、中小企業は苦戦を強いられる可能性が高い。罰則規定がないこともあり、企業の41.0%が面接の開始時期を解禁前の「6月以前」と回答した。

