中小、厳しい採用活動に工夫 「第二新卒」もターゲットに

新卒中小、厳しい採用活動に工夫 「第二新卒」もターゲットに

2016年卒の採用活動が本格的に始まった。景気回復で大手企業の採用意欲は高く、知名度などに劣る中小ベンチャー企業は厳しい活動を余儀なくされている。大手と同じことをしていては人材を確保できないため、大卒後3年以内の「第二新卒」をターゲットにしたり、新たなアピール方法を導入したりと、独自の工夫で乗り切ろうという動きが目立つ。

「大学を卒業してから、これまで何をしていましたか」

「いったん居酒屋に勤めましたが、その後はワーキングホリデーを使って海外にいました」

2月前半に都内で開かれた合同面接会。中小メーカーなど12社が参加した。面接を受けたのは一度就職したものの、数年以内に退職するなどした第二新卒の若者たちだ。

バルブなどを製造する電装産業(東京・世田谷)も参加企業の一つ。渡部登貴雄会長は「大学を出た後にチャンスをつかみ損ねた人もいるが、素直で熱心な人が多い。2~3人採用して育てたい」と意気込む。

主催した採用支援のジェイック(東京・千代田)によると、同社を通じて第二新卒を募集する企業は前年より2割増加。大手と競合する現役学生以外にも目を向けることで、自社に合った人材を探したいという意欲が高まっているという。

マンション内の水道管洗浄サービスを手掛けるオアシスソリューション(東京・渋谷、関谷有三社長)が目を向けたのは海外だ。昨年10月と今年1月に中国・上海で開かれた日本企業向けの採用イベントに参加。現地の中国人学生2人の採用を決めた。国内でも採用活動は続けるが、「厳しい環境を考えれば国籍を問わずに優秀な学生を確保したい」。

学生側の「売り手市場」ともいえる今年の採用活動。大手企業でさえもアピール力を高めるために工夫を凝らすなか、中堅・中小企業はこれまで以上に知恵を絞る必要に迫られている。

厨房機器メーカーのタニコー(東京・品川、谷口秀一社長)は2月末、大阪ガスの展示施設を使って業界研究イベントを開いた。展示されている厨房機器などを見せながら業界事情を説明することで、学生に親しみを持ってもらう狙いだ。「厨房機器といっても学生にはイメージしにくい。まずは業界への興味を引きたい」

電子コンテンツ制作のカヤックは昨年7月から、約200人の全社員を人事部に所属させ、新卒・中途問わず採用したい人を会社に推薦できる仕組みを導入した。

社員は通常の所属部署と「人事部」を併記した名刺を持ち、学生などにアピールする。「求人サイトなどを利用するよりも社風に合った人に出会いやすくなる」といい、採用コストも削減できると期待する。

OA機器販売や人材派遣を手掛ける庚伸(東京・中央、宮沢敏社長)は、選考前に学生が経営者との懇親会などに参加する採用支援サービスを始めた。中小企業は創業経営者が多いこともあり、学生に自らの経験などを伝えることでアピール力を高める。

学生の内定辞退を防ぐことも重要になる。菓子製造の白ハト食品工業(大阪府守口市、永尾俊一社長)は昨年、内定者とその家族を自社の農園や工場に招く見学会を始めた。経営者や社員の人柄に加え、仕事内容を家族に知らせることで親しみを持ってもらう。今年も開催する予定だ。