新卒関西の小売り・外食、高卒採用を拡大 人手不足や出店増で
関西の小売り・外食企業が2016年春の高卒採用を拡大する。総合スーパーの平和堂は6年ぶりに再開するほか、中古車販売のハナテンは2倍に増やす。景況感の改善などで大卒の人材獲得競争は激しく、高卒に目を向ける企業は増えている。ただ、高卒の内定率は上昇傾向にあり、必要な人材確保は今後さらに難しくなりそうだ。
平和堂は16年春の採用で高卒を約50人採用する予定だ。採用後は店舗に配属し、販売や接客、生鮮食品の加工技術などを学んでもらう。同社は16年3月期以降も年5~6店舗の出店ペースを維持する計画。
定年退職する社員が増えていることから、一部店舗では人手不足感も出てきた。同社では大卒、大学院卒だけでは必要な人材を確保できないとみて、高卒採用を再開することにした。全体の採用人数は約180人と15年春の2.4倍を予定している。
ハナテンは16年春の採用で高卒の採用を34人と倍増する。車検などをする整備工場を増やす計画。大卒・専門学校卒の採用もしているが「特に整備士の専門学校を出た学生は大手ディーラーなどと争奪戦になっており、高卒の採用を増やして現場で育てたい」(人事担当者)としている。
居酒屋チェーンの鳥貴族も高卒を10人ほどと2倍採用する予定。全体では20人と3割増とし、高卒が半数を占める。新卒は当初、店舗に配属して、調理や焼き鳥の串打ちなどを学ぶ。採用増の背景には、高水準の出店に加え、パート・アルバイトの人手不足や賃金上昇などで正社員を一定数確保する必要性が高まってきたこともある。
景況感の改善もあって、高卒採用を拡大する動きは広がっている。厚生労働省によると、15年春に卒業予定の学生の14年12月時点での就職内定率は大卒が82.3%(近畿2府4県)、高卒は86.3%(大阪府)で、前年同月時点よりそれぞれ4.3ポイント、4ポイント上昇した。
こうしたなかで、必要な人材を確保できない企業も出てきた。京都市北部を中心にスーパー「生鮮館なかむら」を運営するなかむら(京都市)は例年20人程度の高卒を採用してきたが、15年春は半分の約10人にとどまった。九州や四国など地方の高校生が地元で就職する例が増えているためだ。16年春も20人を計画するが「応募自体が減っており、今春並みになる可能性がある」とみる。
待つだけでなく積極的に働きかけを強める企業もある。サトレストランシステムズ子会社で、回転ずし店「にぎり長次郎」などを運営するフーズネット(大阪市)は16年採用から、高校への個別訪問と学校別の合同説明会の対象を500校と例年より2割強増やす。幅広い学校から募り、15年比3割増の約40人の確保を目指す。
流通科学大学の前川明特任講師は「少子化の影響で今後は若者の数は減り、採用競争は一層激しくなる」と指摘しており、賃金上昇につながる可能性もある。