新卒就活力:採用支援、求める人材に直結
企業の新卒採用を支援するビジネスが多様化しつつある。中心的役割を担ってきた大手就活サイトでのミスマッチが目立つようになってきたことが背景にある。学生側も、それぞれの支援サービスの特徴をよく理解して上手に利用したい。
現在の就職活動は、就活サイトから企業に応募(エントリー)するのが一般的だ。代表格のリクナビ、マイナビの掲載企業は1万社規模。大手、有名企業はほぼ網羅されており、大半の学生が「就活の入り口」として登録する。
就活サイトの基本は掲載企業からの広告料収入で稼ぐ広告モデルだ。企業にとっては、一定数の応募者を集めたうえで、面接などの選考を経て採用者を絞り込む効率的な「待ち受け」型採用ができるメリットがある。
しかし、就活サイトが中心的役割を果たし、新卒採用が単一市場化したことで、企業、学生双方がなかなか出会えない「非効率」が逆に目立つようになってきた。知名度の高い企業には人気が集中する一方、中小企業や、大企業でも一般に浸透していない企業は応募が集まりにくい。また、人気企業は大量の応募があっても、適切な人材を見つけ出すのに苦労している。
●PR動画見て接触
そこで、より精度の高いマッチングをうたう新卒採用支援ビジネスが登場している。
一つは、学生の登録情報に基づき、企業から学生にアプローチする「逆求人」型だ。
リーディングマーク(東京)は、学生がスマートフォンを使い自己PR動画を投稿できる就活サイト「レクミー」を運営する。大手企業やベンチャー企業など約200社と契約しており、学生に興味を持った企業が特別選考やスカウトに招待する。スタートから約1年で登録学生数は1・5万人と急拡大した。エントリーシートの文章では伝わらない個性や雰囲気があらかじめ分かり、気になる学生だけを呼ぶことができるため、採用の手間やコストが削減できる。
飯田悠司社長(29)は「動画投稿を恥ずかしがる学生も多いが、ありのままの自分を伝えることができ、利用してよかったという声が大半。企業の満足度も高い」と話す。
●ベンチャーに紹介
もう一つは、企業と学生の間を仲介する「新卒人材紹介」だ。学生の適性、企業の業種・職種など細かくマッチングができる。採用が決まれば、企業から成功報酬が支払われるビジネスモデルが基本だ。
キャリア支援サイト「Goodfind」を運営するスローガン(東京)は学生と優良ベンチャーの橋渡しをしている。登録する約1万人の8割は東京大、京都大など有力大の学生。ビジネススキルやキャリアを学ぶセミナーを開いており、人材育成の場として活用するとともに、学生をベンチャー企業に紹介する。
「新産業を創出するにはどうすればいいか逆算した。優秀な人材をベンチャーに送り込むことで成長を支援したい」と伊藤豊社長(37)はいう。
2005年に起業。当初は「東大生らはベンチャーなんて興味ない」と言われたが、現在は年間500人を送り出すまでになった。契約する約150社は「自信を持って紹介できる」ベンチャーに絞り、学生は口コミで集まってくる。
人材コンサルティングのHR総研(東京)が昨年11月、企業307社の採用担当者と就活生839人に行った調査では、企業の46%が「大手就活サイトだけでは不安」とし、学生の4人に3人は逆求人型の利用の意向を示した。新卒採用スケジュールの繰り下げで、マッチングがさらに難しくなるとみていることが背景にありそうだ。
11年以降、新卒紹介、逆求人型に参入した求人広告会社アイデム(東京)は「企業の規模や採用数などによって適切な採用手法に違いがある。さまざまなサービスの併用も進んでいる」と分析している。