新卒首都圏の企業、高卒争奪戦 景気上向きで人手不足
来春の高校卒業予定者を対象にした企業の採用競争が首都圏で激化してきた。景気回復を背景に採用拡大に動く企業が多く、各業種で人手不足感が強まっている。高校生向けの合同企業説明会への参加希望も中小企業を中心に殺到。計画通りの内定者数に満たない企業は採用活動を継続し、人材の確保を急いでいる。
埼玉県を中心に首都圏で食品スーパーを展開するベルクは来春卒業の高卒者を70人採用する。例年(約50人)の4割増の規模。同県内に今春、大型物流拠点を新設し、広域出店できる体制が整ったのを踏まえ、店舗での販売要員を拡充する。
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食品スーパーのオオゼキ(東京・世田谷)は今春並み(150人程度)の高卒人材を確保できる見通しだ。人材獲得競争の激化で、応募者数は前年比で約2割減ったが、東北地方の高校を中心に訪問を重ね、女性が活躍しやすい職場環境などをアピールし採用計画を達成した。
埼玉県を地盤とする武蔵野銀行も33人に採用内定を出し、当初計画をクリア。県内の商業高校から人材を確保した。樹脂加工やアルミニウム鋳造を手掛けるJMC(横浜市)は4人を内定。職場体験会などを積極的に行い、今春実績(1人)から上積みした。
来春の高校卒業予定者を対象にした企業の採用活動は9月16日に解禁された。1カ月強が経過したが、計画人数の確保にメドが付いていない企業も少なくない。
東京商工会議所江戸川支部(東京・江戸川)や浦安商工会議所(千葉県浦安市)などが6月に開いた会員企業と高校の就職情報交換会には、前年比3割増の85社が参加した。「大手企業が採用数を増やし、中小企業の人手不足がさらに強まっている」(東商)ためだ。
説明会は抽選
秋になっても、こうした状況が続く。埼玉労働局(さいたま市)などが11月、高校生を対象に開く合同企業説明会。約140社の参加枠に対し、応募企業数は昨秋の約2倍の450社超に達した。福祉や建設関連の企業が目立ち、抽選で参加企業を決めた。
イベントなどの装飾を手掛けるサクラインターナショナル(大阪市)は毎年、首都圏で高卒人材を採用している。来春は5人程度を予定したが、現在の内定者は2人。担当者は「特に優秀な高校生は採用しにくくなっている」と頭を抱える。
自動車検査装置などを生産するヨコキ(横浜市)は3年ぶりに高卒予定者の採用活動を再開したが、今のところ応募はゼロ。採用担当者が6月から、同社周辺の4校を回ったが、「学校の担当者に『採用が大変では』と同情されるほど、獲得競争は相当厳しい」(同社担当者)という。