新卒3メガ銀「大量採用」に幕 来春、軒並み1000人割れ
3メガバンクの代名詞ともいえる大量採用の時代が終わりつつある。三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほフィナンシャルグループ(FG)の2019年4月入社の新卒採用数は軒並み1000人割れ。収益環境の急速な悪化で、デジタル技術を使った業務効率化を予想以上のスピードで推し進めざるをえなくなっている。
銀行の採用絞り込みに伴い、大勢の優秀な人材が生産性のより高い別の業種や中堅・中小に回りやすくなる面もある。
3メガ合計の19年春新卒数は2300人程度と今春予定を3割下回る見通し。共通するのは事務や窓口業務を担う職種の採用を減らす点だ。来春の新卒採用が今春予定の1360人から半減する見込みのみずほFGも、窓口などで働く特定職の減少が全体の採用数を押し下げる。
産休や育休制度の充実で、特定職の女性が退社せず長い期間働くようになっていることも採用抑制の原因のひとつ。
さらにコスト抑制に向け定型作業を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と呼ぶシステムの導入を急いでいることもあり、特定職の絞り込みは来年以降も続きそうだ。
三菱UFJ銀も今春予定の約1030人から1割弱減らす方向で調整中。デジタル技術による効率化などで23年度までに9500人分の業務量を削り、グループの従業員数を23年度までに6千人減らす。
住宅ローンなどの審査を一部自動化したり、インターネットを使った手続きに誘導して窓口対応の量を減らしたりといったことを想定。受託財産など成長分野は手厚く人を配置する一方、店舗は統廃合を進めて人手がかかる後方事務などは徐々に人数を絞る。
三井住友銀行も今春予定の約800人から20~25%程度減らす方向だ。店舗で振り込みや出入金など伝票の確認に多くの人手をかけているが、電子化されたデータを全国9カ所の事務センターに集め、少ない人員で作業できるしくみにする。
企業としての安定性や報酬などの面から学生に人気の高い3メガバンクは、毎年1000人を超える採用を続けてきた新卒市場のガリバーだ。
「人材を無駄づかいしてきた面は多分にある」。あるメガバンク首脳がこう認めるように、有力大卒の人材をまとめて囲い込みながら、多大な事務量を伴う仕事の性質上、比較的単純な職務に労力を割くウエートも大きい。さらに幹部候補を早い段階から絞り込む過程では大量の中堅行員を外部に放出しているのが現実だ。
金融志望の学生にとっては門戸が狭まるものの、成長力の高い中堅やベンチャー企業などに能力の高い人材が流れれば、労働市場全体では生産性向上につながる副次的効果を期待できる。
