新卒崩れる新卒採用ルール 経団連が見直し着手
経団連は12日の会長・副会長会議で、2021年春入社の学生を対象とした就職活動ルールの見直しに着手した。会員企業は6月の採用面接解禁、10月内定の段取りで動いているが、前倒しやルール緩和を検討する。生産性向上や人口減への対応に追われる企業が、時期に関係なく、自由に採用できる余地を広げるのが狙い。新卒一括採用後に終身で雇用する日本の慣行が変わる。

「時代はどんどん変わる。一定時期に採用をするやり方にはいろんな意見がある」。榊原定征会長は12日の記者会見でルール見直しの必要性に言及した。今年秋をめどに結論を出すとした。
経団連は(1)採用面接と説明会の解禁を3月に一本化(2)ルールを「一つの目安」と緩める(3)採用面接を6月から4月に前倒し(4)ルールの廃止――という4つの案を軸に検討を進める。政府や大学側との調整も急ぐ。
経団連が見直しに着手するのは、新卒一括採用が現状に合わなくなっているからだ。リクルートキャリア(東京・千代田)によると、18年卒の学生のうち採用面接の解禁日にあたる6月1日時点で内定を得たのは61.9%にのぼる。前年の同時期に比べて約10ポイント上がり企業の採用活動が前倒しになる現状が浮き彫りになった。
人材研究所の曽和利光社長は「新卒に限った採用ルールは時代に合わない」と指摘する。企業は人材の争奪戦を繰り広げており、既卒の学生や外国人にもターゲットを広げて採用活動を実施しているためだ。ある大手IT(情報技術)企業では採用の半分を外国人が占め、通年採用が定着しているという。
今後は人工知能(AI)の活用でヒトが担う仕事が減るとみられ、企業が学生の厳選採用にカジを切るとの見方もある。新卒採用する学生を一から育てるのでなく、入社時から一定の専門性を求めるようになる可能性がある。「専門性の高い人材は新卒や既卒、時期に関係なく確保したい」(大手メーカー首脳)というのが企業側の本音だ。
経団連の検討は企業の動きを後追いする形になるが、完全な自由競争になって過度に人材を奪い合う事態は避けたい考え。榊原会長は「(採用活動を)やりたい放題やるのも問題だ」とルール自体の廃止には慎重だ。政府内や教育関係者の間では、大学3年生のうちは「学業に悪影響が出ないようにしてほしい」との要望が多い。
日本総合研究所の山田久・主席研究員は「雇用の流動性が高まるにつれて採用方式も多様になるのが自然だ」と話す。政府や経済界は働き方改革の一環で、社会人向けに学び直しの機会を増やすことや中途採用の拡大も必要とみる。
人口減で人手が不足する中、企業では優秀な人材の争奪戦が加速している。競争は国内市場だけでなくなり、グローバルに活躍できる人材の確保も喫緊の課題だ。AIの普及で、人が担う仕事が減ると予想され、学生にも専門性の高いスキルが求められる時代に入る。

