人事担当者が新卒選考時に重視するイマドキの「コミュニケーション力」とは

新卒人事担当者が新卒選考時に重視するイマドキの「コミュニケーション力」とは

今、新卒選考時には、どのような要素が重視されているのだろうか。調査では15年連続で「コミュニケーション能力」がトップとなった。しかしコミュニケーション力といってもその内容はさまざまだ。そこで、人事の採用に詳しい識者に、今ドキのコミュニケーション力には具体的に何が求められているのかを聞いてみた。


■新卒社員に重視すること「コミュニケーション能力」がトップ

一般社団法人 日本経済団体連合会の調査では、企業が新卒社員の選考時に重視する要素として、上位5位は次のランキング結果となっていた。

●選考にあたって特に重視した点(5つ選択)
~2018年4月入社対象~
第1位 コミュニケーショ能力 82.0%
第2位 主体性 60.7%
第3位 チャレンジ精神 51.7%
第4位 協調性 47.0%
第5位 誠実性 44.2%

このうち、第1位の「コミュニケーション能力」は15年連続で1位となった。

■今、新卒者に求められるのは「相手の意図やニーズを引き出す力」

コミュニケーション力といっても、昔と今とでは、その求められるレベルや内容は変化しているのではないかと予想できる。現時点で新卒者に求められるコミュニケーション力とはどのようなものなのか。

企業の経営・人材戦略をサポートする株式会社カケハシ スカイソリューションズの営業部長 岡部謙太氏は、現場で人事担当者を支援している経験から、次のように話す。

「昔はプレゼン力など表現する力を重要視する傾向にありましたが、最近は、相手がどう思っているのか、意図していることは何かを引き出すためのコミュニケーション力が求められるようになってきました。

その変化の背景には、世の中に情報量が格段に増えたことが考えられます。例えば入社後、営業部門に配属されたとします。もちろん、お客様に自社製品やサービスのことを知っていただくための商品説明のプレゼン力は必要なのですが、お客様は少し調べればその商品や競合のことはわかります。ある程度の情報を持っているからこそ、そのお客様が本当は何を考え、何を必要としているのかを引き出すためのコミュニケーション力が重要になってきます」

ただ自社の情報を伝えるという、一方向のコミュニケーションではなく、相手から引き出すというさらに上の力が必要になるようだ。そしてこの力が求められるのは、新卒者に限らないという。

「これは面接官にも同じことが言えると思います。最近の学生は『デジタルネイティブ』と呼ばれ、LINEやTwitterなどのSNSで当たり前のようにコミュニケーションを取る習慣があることから、対面でのコミュニケーションを苦手とする方が多く、面接でもなかなかその学生が考えていることがわかりにくいことがあります。だからこそ、学生がどのような人なのかを引き出すためのコミュニケーション力が求められます」

■近年の新卒者の傾向と人事担当者の苦悩

新卒者を採用するに当たり、人事担当者はコミュニケーション力のほか、どんなことを重視しているのだろうか。岡部氏によると、採用において苦悩もあるそうだ。

「昨今の学生は業種業界問わず、『自分が輝けるいい会社』を求める傾向があります。その『いい会社』を探っていくと、同僚・上司・会社の雰囲気、自分たちへの期待、チャンス、社会貢献性、成長実感、待遇、将来性、働きやすさ、家族の理解、自分の納得など、多様な価値観が絡み合っていて、彼らが何を決め手として就職先企業を決めるのか、つかみづらい傾向があります。

このような中、人事担当として一番苦労するのは、こうして決めきれない学生に自社への入社を決断させることです。特に今は『超売り手市場』のため、さらに難易度が増しています」

このような状況の中、新卒者の採用には一工夫が必要になるようだ。

「人事担当として重要になるのは、学生の個々の志向や価値観に合わせて採用フローを柔軟に変更したり、自社を選ぶ理由を一緒に考え、採用活動を通して学生を成長させたりするなど、学生の決断プロセスにどれだけ深く関わることができるかということにあると考えます」

昨今の人事担当者には、自らのコミュニケーション力を駆使して、新卒者のコミュニケーション力を見抜くという高度なテクニックが必要になるようだ。そして採用活動そのものも臨機応変に対応させる必要もある。デジタルネイティブを相手とする超売り手市場。新卒採用は、かなりむずかしい状況になっているようだ。