新卒最新就職人気ベスト300、”旅行系”が急伸
“買い手市場”から“売り手市場”へ
昨年の12月から始まった2015年卒の就職活動は、後半戦に入っている。スタート当初から企業の採用意欲は高まりを感じさせていたが、それは日を追うごとに熱を帯びていった。日本経済新聞社の採用計画調査(4月)では、6年ぶりに10万人を突破し、リーマンショック前の水準まで数字を戻している。求人倍率も1.28倍から1.61倍(リクルートワークス研究所)と大きく上昇。“買い手市場”から“売り手市場”に移行したと言っていいだろう。
こうした採用環境の変化を、学生は敏感に感じ取っている。文化放送キャリアパートナーズ『ブンナビ学生アンケート』では、「内定を獲得できる自信は? 」という質問に対して、「大いにある」と回答した割合が月を追うごとに増えている(2月7.1%→3月9.7%→4月15.7%)。学生の二極化が進んでいるため、全ての学生が“売り手”を実感しているわけではないだろう。しかし、学生側に企業を選ぶ余裕が出てきたのは確かなようだ。
就職ブランドランキングは、就職活動を「前半」と「後半」に分けて実施している。前半の調査期間は13年12月1日~14年1月13日。前半のランキング記事「就職人気ベスト300、三菱東京UFJが3連覇」はこちら)。この時期は、企業の採用PR時期にあたる。主に説明会で企業理解を深めるタイミングで、実際の選考を受けている学生は少ない。後半は14年1月14日~14年5月31日となり、エントリーシート提出や面接など、選考を通じた社員とのリアルな接触や企業対応が評価の対象となる。
今回の記事では、学生による企業の選考プロセス評価とも言える、後半ランキングを「最新版300社」として掲載。冒頭の表が「トップ20社」だ。2ページ以降では21位以下を掲載しているが、まずは最上位の企業を見ていこう。

志望を変化させない強気な学生!?
後半ランキングでトップになったのは、JTBグループだ。前半2位から順位を上げた。グループ採用形式を取っており、29の事業会社から地域や事業に密着した“事業推進型”と“グループ総合型”を選択できる。このグループ総合型では、第3希望まで選択可能で、共通一次面接により最大3社の選考を一度に受けられる。また、入社2年目を目安に海外経験が可能になるグローバルエントリーが今年度から新設された。選択肢の多様性とグループ企業による共通選考といった合理的スタイルが、学生に受け入れられた結果だろう。
2位となったのは、前半トップだった三菱東京UFJ銀行。学生コメントからは、「一緒に働きたいと感じさせる行員が多い」「社員が誇りを持って働いている」など、人への好感度を理由に挙げている学生が目立つ。業界トップの安心感だけでなく、“こんな風になりたい”と思える将来像を提示できたことで学生の支持を集めた。
3位は全日本空輸(ANA)。客室乗務員の正社員化を20年ぶりに復活させ、過去最高規模の500人を採用するなど、待遇向上と受け皿の大きさによって、前半4位からトップ3入りを果たした。前後半通じて盤石なブランド力を定着させつつある。競合する日本航空も見ておこう。前半16位から6位まで順位を上げて、こちらも評価が高い。パイロット採用を5年ぶりに再開させるなど、収益改善にともなう積極採用が学生には安心材料となっている。結果として、航空業界2社で相乗効果を発揮する格好となった。
前後半のランキング動向を見ていこう。まずは、マスコミなど競争率の高い“あこがれ企業”が後半でランクアップしていることが特徴だ。電通(前半32位→後半14位)、集英社(同20位→同16位)、日本放送協会(NHK)(同35位→同20位)、博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ(同37位→同23位)など。売り手市場を背景に、強気の姿勢を崩さない学生動向がうかがえる。しかし、マスコミ業界全体を見ると、ランキングは下落傾向にある。テレビからインターネットへ学生の利用メディアが変化するにつれ、同業界内でもブランド力にばらつきが出はじめている。
金融は、前後半を通じて強さを発揮する結果となった。上位20位中、前半では9社、後半でも8社がランクインしている。リーマンショック以降、求人倍率は0.2倍前後と安定的に狭き門の同業界。その現実をふまえれば、企業研究が進むにつれてランキング変動があっても良さそうだが、後半で目立って順位を下げた企業は見当たらない。メガバンクを中心に受け皿が大きいこともあり、「上手くすれば…」という学生意識が透けて見える。就職環境の改善にともない、志望業界や企業をあまり変化させずに、4月~5月の春採用にのぞんだ学生が多かったと言える。

採用活動は「プロモーション」の側面も
トップ50でランクアップが目立った企業としては、カゴメ(前半42位→後半22位)が挙げられる。カルビー(同152位→同35位)やアサヒ飲料(同85位→同38位) も同様に順位を上げている。これらの企業には共通点がある。
学生が“未来の社員候補”であると同時に、“将来のお得意様”でもあるのだ。選考プロセスにおいて学生の反感を買うようなことがあれば、商品のブランド力低下にもつながりかねない。それゆえ、選考に落ちた学生に自社製品を送ったり、お菓子を使ったセミナーを実施したりと、採用活動と同時に、商品プロモーションを意識した学生への配慮を心掛けているケースもある。
それが順位となって表れた。タカラトミー(同103位→同49位)は、14年卒の新卒採用を見送っていたので、2年ぶりの採用となる。おもちゃ業界を志望する学生はこだわりが強いため、採用再開にともない注目度が上がったと考えられる。






