新卒インターン導入企業6割増 人材囲い込み激しく
企業が大学生に就業体験の機会を提供するインターンシップが広がっている。無料対話アプリのLINEが8月から初めてインターンを受け入れるほか、パナソニックは募集人数を昨年度の3倍に拡大する。2016年春卒業の学生インターンを受け入れる企業数は昨年より約6割増える見通し。新卒採用を巡って「売り手市場」の様相が強まるなか、インターン受け入れが始まる夏休みが実質的な就職活動のスタートになる。
LINEは8月から、初めてインターンプログラムを始める。応募条件はプログラミング経験などを持つ学生だ。LINEの社員が、つきっきりで開発テーマに取り組むという。定員5人程度の技術職コースを受けた学生には、約1カ月で40万円の報酬を支払う。
ディー・エヌ・エー(DeNA)も、8月から9月にかけて実施する4日間のインターンプログラムで10万円の報酬を支払う。参加学生は新規事業やアプリ開発を体験する。総合職と技術部門で定員はそれぞれ20~50人。すでに約5万人の応募があるという。
従来のインターン制度は交通費程度を支給する企業が大半だったが、報酬を支払う仕組みで、より優秀な学生を集める企業が増えている。
■業界合同で開催
人手不足に悩む物流業界では、ヤマト運輸、佐川急便、日本通運や日本郵船など19社が9月、初となる合同インターンシップを開く。各社独自での開催実績はあるが、業界団体が中心となって物流全体を知ってもらう機会にする。1週間程度を予定し、テーマを設けて複数の企業を訪問できるようにする。
人材サービス会社のエン・ジャパンの集計によると「リクナビ」など就職活動サイト3社の6月1日時点のインターン募集掲載企業数は、前年の約1.6倍の延べ4645社に達した。
三菱自動車は初めてインターンプログラムを設ける方向で検討を始めた。日産自動車は今年、技術系に加えて事務系の学生を受け入れるほか、5日間から参加できる短期型を導入する。大半が大学の夏休みに当たる8~9月に実施するが、秋や冬に開く企業も多い。
企業業績の拡大を受けて、新卒採用は学生優位の「売り手市場」の傾向が強まっている。より多くの学生に自社への関心を持ってもらうため、受け入れる学生数を増やす企業も目立つ。
パナソニックは今夏から秋にかけて実施するインターンシップ制度の募集人数を300人と、昨年度の100人から大幅に増やす。基礎研究や設計開発、生産技術など理系学生のほか、知財や法務、営業など文系学生も幅広く受け入れられるよう、100以上の募集コースを設けた。
■アピール材料に
マツダは今夏に広島大学から100人程度の学生を受け入れる。理系や文系を問わず募集し、昨年実績比で10倍に増やす。9月に経営統合する損害保険ジャパンと日本興亜損害保険も、昨年度の1000人を大きく上回る2500人規模で実施する。学生は代理店営業などを疑似体験できる。
経団連のルールでは、インターンの目的は就業体験を通じて業界や企業への理解を深めること。ただ、実際には「インターンの成果は本番の選考の参考にする」(大手メーカー)との声が多く、企業と学生双方のインターンへの関心が高まっている。
外資系企業には、インターンと採用をより直接的に結びつける企業も珍しくない。経団連に加盟していないネスレ日本は9月下旬にインターンを実施し、成果をあげた学生を対象に選考を進めて10月にも内々定を出す。
経団連の採用ルールの変更で、16年卒の学生から、採用・選考活動は3~4カ月繰り下げられる。短期決戦を迫られるだけに、採用活動が始まる半年以上も前からインターンを実施する。ルール変更は安倍晋三首相の「学業に専念する期間を長くすべきだ」との要請がきっかけだった。ただ、インターンを含めると、学生が就職活動に割く時間は長くなる恐れがある。

