新卒企業と就活生、こんなにあった「すれ違い」 「高年収」「即戦力」は学生には魅力でない
新卒採用で学生を選考するのは企業。だが、その企業を志望するかどうかの選択権は、学生が握っている。企業は学生が求めている情報を本当に提供できているのだろうか?
「仕事が面白い」会社を学生は求めている
HR総研が2017年6月に行った「2018年新卒採用」に関する企業調査と、3月に楽天「みんなの就職活動日記」と共同で行った学生調査から、学生と企業の「仕事の魅力」「企業の魅力」などに関して、意識の一致度を調べた。すると企業と学生の間にギャップがあることがわかる。むしろ企業の方が学生をカン違いしているのかもしれない。
まずは「仕事の魅力」について見ていこう。学生に「仕事の魅力であなたが最も重視するものは何ですか」と聞いたところ、圧倒的に「仕事が面白そう」との回答が多かった。文系・理系や大学のレベルを問わず、約6割がそう回答している。

「スキルが身につく」というスキル志向が2割前後、「希望する職種につける」というキャリア重視の学生は1割強いるが、「若いうちから活躍できる」は1割未満となっている。さらに「海外で働ける」は数%と無きに等しい。自分が活躍できるかということより、まずは仕事自体が面白く感じられなければ、仕事として魅力に感じないということだ。
一方、企業が学生に訴求したいものは、学生の意識からかなりずれている。いちばん訴求したい(伝えたい)のは「若いうちから活躍できる」で40%だ。前述のとおり、ほとんどの学生は「若いうちから活躍できる」を仕事の魅力とは感じていないので、完全なミスマッチである。
なお、「仕事が面白そう」は36%となっており、「スキルが身につく」(18%)は学生の数値と同じだ。
企業は「若いうちから活躍」を訴えるが・・・

企業は学生の安定志向を知っている。とはいえ欲しい人材は、「バリバリ働きたい」「すぐに活躍したい」という前向きな学生だ。若いうちから活躍できることを訴求ポイントにして、そういう意欲のある学生を引き付けたいと考えているのだろう。
「会社の魅力」という設問では、3割強の学生が「安定している」ことを望んでいる。それ以外の魅力については、文系と理系で違いが大きく、文系では「経営者・ビジョンに共感」(35%)、「成長性が高い」(16%)が上位で、理系は「技術力がある」(26%)、「経営者・ビジョンに共感」(19%)、「成長性が高い」(16%)の順になっている。
「製品イメージがよい」は、文理ともに8%と低い。製品そのものの魅力は、実は、直接就職したい会社には結びついていなかったのだ。
企業が訴求したい「会社の魅力」は、学生の意識とかなり重なっている。30%の企業が「経営者・ビジョンに共感」と回答、「安定している」(28%)、「技術力がある」(22%)、「成長性が高い」(16%)という順位になっている。「製品イメージがよい」ことを訴求する企業はほとんどなかった。
それ以外の項目についても違いを見ていこう。
「社会的責任の魅力」では、ほぼ5割の学生が「事業自体が社会貢献」、2割強が「法令遵守の姿勢」、2割弱が「女性活用の姿勢」を選択している。意外に「地球環境への配慮」は少なく、1割前後である。企業の順位もこの順番になっており、「事業自体が社会貢献」が6割強、「法令遵守の姿勢」は2割弱、「女性活用の姿勢」は1割だ。
「雇用の魅力」では、学生の4割は「福利厚生」を、3割は「社風・居心地」を選んでいる。「教育研修」や「年収」は1割程度と少ない。一方、企業が訴求したいポイントは、約半数が「社風・居心地」を伝えたいと考えている。次に伝えたいのは「教育研修」で約25%となっている。
4社に1社は「うちは人を育てる会社ですよ」とアピールしたいわけだが、学生は「教育研修」をそれほど重視していない。学生がもっとも重視する「福利厚生」を訴求する企業は1割強と少ない。企業は福利厚生をアピールすれば、それを気にする学生からの支持が多くなるかもしれない。
学生は福利厚生重視、「年収が魅力」は少数
ところが、企業が重視している採用活動は、「質問・疑問への対応」「説明が詳細でわかりやすいセミナー・説明会」「好感の持てる人事担当者」の3つで、いずれも3割弱となっている。これらはすべて人事が主役になって行うことばかり。どうも人事の自意識は強いようだ。学生が重視する「好感の持てる一般社員」は10数%と低い。
学生が影響を受けるのは人。人事からも社員からも、影響を受けている。セミナーで企業は、「何を話すか」「どう話すか」に重点を置いているのだろうが、「どう響いているのか」を考える必要がある。そのほうが高い採用効果を期待できるだろう。