ソニーの新卒採用、「希望職種なし」でもOKに ソニー採用部の北島久嗣統括部長

新卒ソニーの新卒採用、「希望職種なし」でもOKに ソニー採用部の北島久嗣統括部長

新卒採用の場面で、多くの会社が学生に提出させる「エントリーシート」。その生みの親とされるソニーは、その後も他社の一歩先を行く採用・配属の仕組みに挑戦してきた。2012年には内定時点でだいたいの配属が分かる「コース別採用」をスタート、さらに今年は配属先にこだわらない学生のための「WILL(ウィル)コース」を新設したという。そのねらいは何か。「我々にとってもチャレンジ」と話す採用部の北島久嗣統括部長に話を聞いた。

――18年卒の採用予定数と、今後の予定を教えてください。

「300人です。採用数は昨年と変わりません。エントリーは4月24日に締め切り、6月1日から面接です。今のところ6月中に採用活動を終える予定です。海外の大学を6月に卒業して帰国する学生も、このタイミングに合わせるつもりです」

■12年から「コース別採用」、配属も伝える

――近年、新たに取り組んでいることはありますか。

「12年からコース別採用を始めました。それまでは内定の後、秋以降に配属を決めるための面接をして結果は4月にわかる、という流れでした。しかし、技術職の人は特に自分の専門性を生かせるところで働けるのか、非常に気にします。そこでコース別採用を取り入れ、内定の時点でおよその配属を伝える仕組みにしました。技術系は、細かく数えると56種類のコースがあります。事務系でもマーケティング、スタッフ、財務・経理など7種類あり、応募時点でコースを指定できます。第3希望まで聞いています」

「仕事内容がよくわからない、商品のカテゴリーは問わないという学生も当然います。そのため面接の前に社員と面談し、一緒に志望するコースを考える『ジョブマッチング』という制度もあります。決めきれなければ、違う職種の社員にも会ってもらい、応募者のポテンシャルに合致する仕事を検討していきます」

■配属はどこでも、職種決めない新コース

ソニー採用部の北島久嗣統括部長

――今年から始めたことはありますか。

「職種別採用の『逆張り』で、職種をまったく問わない『WILLコース』をつくりました。ソニーに興味はあるけれど、会社のことはよくわからない、情報は多くあるが迷ってしまう、そういった人も多いはずです。そういう人には『自分はこんな良さがある。こんな人間なので自分に合う配属で入社したい』と思いをぶつけてもらう採用です。我々にとってもチャレンジです。今回、この応募者に会うのが非常に楽しみです」

――面接の流れや内容を教えてください。

「面接は3回です。社員が1、2人に対して学生が1人の個人面接で、集団面接はありません。時間は30分から45分ほどです。人事も面接官として入りますが、コースごとに現場の社員も面接に臨みます。面接では、これまで取り組んできたこと、どんな考え方をしているのかを主に聞きます。奇をてらうやり方はないですね」

■「異見」ある人を評価

――評価基準として、学生のどんな点を見ていますか。

「当事者意識をもっているかどうかを見ます。言いかえれば、自分の頭でしっかり状況を理解し、考えた上でアクションを起こしているかどうか、この点が重要です」

「経営幹部もよく私たちに『異見(いけん)をいってください』といいます。意見の意ではなく、異なる考えという意図です。ソニーでは、より建設的な議論のためには『その通りです』というより、異なる考えをぶつけあうミーティングのほうが、最終的によいアウトプットに結びつくと考えます。オリジナルな『異見』をいえるかどうかは、当社で仕事をする上で非常に大事な要素です」

「たとえば、『ソニーという会社のどういうところを見て応募に至ったのですか』と聞くとします。そのとき、社長の平井(一夫氏)のこの決断や発言に共感しました、という返答より、自分の言葉で当社に対する思いや『こういう仕事をしたい』と話してくれたほうが新鮮な印象を持ちますね。その言葉は、うれしさにつながります」

――インターンシップは実施していますか。

「夏と春です。当社では、『ビジネスマスタープログラム』と呼んでいて、01年から始めました。1年生から参加できます。2週間のものが多いですが、職場やコースによって期間も異なります。あまり画一的ではありません。『やりたい部署、手を挙げて』と声をかけ、名乗りを上げた職場が実施しています。多くの部署がやっていて、これはソニーのカラーだと思います」

「我々にとっては、学生のみなさんも大事な消費者です。彼らの商品に対する意見を聞くのは、開発や生産を考えるうえで大事な要素になります。その点も、インターンシップに対して現場のモチベーションが高い理由だと思います」

■エントリーシート、「学歴不問」打ち出す

――ソニーはエントリーシートの生みの親ともいわれます。現在のものは、どういった内容ですか。

「エントリーシートを始めたのは1991年です。そのころ、私は採用部門ではないですが、人事にいました。今は『プロフィールシート』という名前ですが、内容は昔とほとんど変わっていないと思います。大きく分けると、学校での研究やゼミの活動、学外活動、ソニーのどんな商品に興味があるか、ソニーに対する印象の4点です」

「当時、採用選考に使う主な書類は履歴書のようなもので、学校名や経歴のほかに志望動機を書く欄がある程度でした。そこで、これまで何をしていたのかを応募者に書いてもらい、読んで会いたい人を面接に呼ぼう、という流れをつくりました。それまでも学校名は不問だったのですが、それをもっとよくわかるように伝えようと考えたのです。これがエントリーシートの始まりです」

「今も、1枚のエントリーシートを3人から5人の社員が読んでいます。エントリーシートを書くプレッシャーや迷いを考えると、非常に大変だと思います。しかし、単なる履歴書で選考するより、互いにいいだろうと思います」

――エントリーシートは、今では多くの会社が採用しています。

「自分たちが始めたことが、多くの企業で採用されたのは、やはり方向がよかったのだろうなと感じています。うれしいですね」