新卒冬のインターンシップはなぜ短期で終わるか 事実上の「採用の一環」、来年はルール変更?
就職活動におけるインターンシップの重要性は増している。大学3年生の夏休みや1~2月頃に開催されるインターンシップは、就職活動として早すぎると感じるかもしれない。経団連という日本最大の経済団体が「採用広報開始は3月1日から、選考開始は6月1日から」と定めているから、学生が「早すぎる」と感じるのはもっともなことだ。
1時間の面接では見極められない
しかし、実は、全ての企業がこの就活スケジュールに則っているわけではない。2016年卒入社の新入社員に話を聞いたところ、サマーインターンシップに参加してそのまま内々定、という学生もいる。のんびりしていると就活の成功確率が低下してしまう。インターンシップに参加した学生と、参加しなかった学生の内定獲得の差は、歴然としているのだ。
企業もインターンシップを重視せざるを得ない事情がある。近年は採用日程がタイトになっており、面接する時間も限られている。1時間未満の面接では学生を見極められない。そこでインターンシップで学生に会い、資質を見極めようとしている。「インターンシップで熱心に質問する学生は印象に残る」という。学生にとっても早くから企業と接し、職場に入って先輩社員の職務風景を見ることは有益だろう。
さて、そのインターンシップは開催時期によって夏(サマー)と冬(ウィンター)に大別されることが多く、期間や内容が異なっている。インターンシップの実態をHR総研が11月に実施した2017年新卒採用最新動向調査からレポートする。
調査データを見る前に新卒採用とインターンシップの歴史を少しだけ遡ってみよう。新卒採用の歴史の中で大きな変化となったのが、1990年代半ばに登場した「就職ナビ」で、それまで紙に印刷された就職メディアを駆逐した。そして2000年代に就職ナビ全盛の時代が訪れ、就職ナビのオープン日が採用活動の事実上の解禁日になっていた。その時期も今と比べるとかなり早く、2012年卒生までは、3年時の10月1日が就職ナビのオープン日となっていた。この日程に対し「あまりにも早すぎる」「そもそも就職ナビに問題がある」という批判が生まれた。
早期化抑制で「5日間以上」と明記
そこで経団連は2011年に現在の「採用に関する指針」にあたる「倫理憲章」を改定。2013年卒生の新卒採用から、採用活動を広報活動と選考活動に分け、広報活動は12月、選考活動は4月から(当時)、とすることを明示した。全ての企業で守られているわけではないものの、ここ数年の新卒採用に絶大な影響を及ぼしていることは間違いない。
同時に事実上の会社説明会となっていた半日から1日程度開催する1dayインターンシップの抑制策として、広報活動の開始日より前に実施するインターンシップについては「5日間以上の期間をもって実施」と定義した。
そもそもインターンシップは、国によって時期や期間、目的が異なっている。辞書には「実務能力の育成や職業選択の準備のために、学生が一定期間、企業等で仕事を体験する制度」(広辞苑)、「学生が企業で短期間業務を体験すること」(大辞林)とあるが、抽象的だ。
日本でのガイドラインには、「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」(文部科学省・厚生労働省・経済産業省)と「インターンシップの導入と運用のための手引き」(文部科学省)があり、就業体験を通した人材育成という位置づけとなっている。
こうした一連の流れから、現在の経団連の指針では採用広報解禁日の3月1日以前のインターンシップは、「学生に就業体験の機会を提供する」ため「5日間以上」の確保を企業側に求めている。
しかし本当に5日以上のインターンシップが確保されているのか? 実態を見てみよう。

HR総研の調査によれば、2016年の8~9月にサマーインターンシップを実施したのは、3割の企業だ。「1001名以上」の企業規模では43%が実施しており、手間のかかるインターンシップを実行する能力が大手ほど高い。
次に期間はどうか。経団連の指針に反する半日や1日という短期のインターンシップも46%ある。しかし最も多いのは、「1週間(5日間)タイプ」であり35%、「2週間タイプ」も25%ある。合わせると6割である。指針に違反する短期インターンシップもかなりあるが、それ以上に指針の趣旨に賛同して5日以上を遵守する企業が多い。企業人事にどのようなインターンシップを実施したか、自由記述で回答してもらったところ、その内容は充実している。
夏は充実した内容だが、冬は半日~1日程度
・開発部門に配属して、社員を実際の指導者に付け、社員が行う開発・実験を担当してもらいました。会社で行っている仕事を実際に体験してもらいました(従業員規模1001名以上、メーカー)
・マナー研修・コンプライアンス研修・開発演習・プロジェクト実習・成果発表会(従業員規模1001名以上、情報・通信)
・現在のビジネス環境、当社の既存ビジネス・インフラを基に、社会の課題解決のための新規ビジネスを立案する(従業員規模1001名以上、情報・通信)
・1日目:業務概要の説明及び施設見学。2~4日目:現場実習。5日目:質疑応答、親睦会(従業員規模301~1000名、サービス)
・建築設計実習・測量2日間と建築工事作業所の施工管理補助3日間(従業員規模301~1000名、メーカー)
・1週間の就業体験。打合わせや企画会議への参加、顧客訪問への同行など、営業職の体験をしてもらった。半日型・1日型では、仕事の疑似体験を、ワークを通してやってもらった(従業員規模300名以下、サービス)
一方、1~2月のウィンターインターンシップの実施企業は、サマーインターンシップより少し多くて33%だ。1001名以上の実施率はかなり高く、過半数の57%である。またメーカーより非メーカー系が高い。期間についてはサマーインターンシップから大幅に変わっている。圧倒的に多いのは「1日タイプ」50%と「半日タイプ」40%で合わせて9割に達している。これでは会社説明会に近い。
そして「2~3日タイプ」では23%と激減し、サマーインターンシップで最多だった「1週間(5日間)タイプ」は13%にとどまり、「2週間タイプ」は皆無である。3年生のサマーインターンシップでは「学生に就業体験の機会を提供する」という趣旨に賛成し、企業にとって負担が大きい1週間以上のプログラムを提供する企業がかなりあったが、ウィンターインターンシップでは短期間で多くの学生と接触することを目的としており、年を越した段階から企業人事は採用モードに入っているように見える。
さらにその内容は会議室や職場で気軽に行えるものが多い。例を挙げておこう。「ワークショップ形式のディスカッション」「職場体験」「OBによる業務説明」「会社・工場見学」「実際の業務の体験とテーマを与えての課題演習」など。グループワーク形式が多そうだ。もちろんウィンターインターンシップでも長期インターンシップを実施する企業もあるが例外的である。
つまり、サマーインターンシップとウィンターインターンシップでは日数だけでなく、その性格や位置づけも異なっている。ウィンターインターンシップは、まだエントリーを受け付けている企業も多い。気になる業界や企業を今すぐチェックしておきたい。
来年からインターンシップの採用が解禁へ
経団連が短期インターンシップを容認する理由は、5日間以上という制約を設けると、学生を受け入れるための職場負担が大きく、実施できる企業が限られるからだ。実際にインターンシップの実施企業はHR総研の調査でも3割程度である。
現状のインターンシップ受け入れ枠は狭く、希望学生の数分の一しか参加できない。1日など短期のインターンシップを認めることで実施企業を増やし、多くの学生にインターンシップの門戸を広げることを目的としている。また、広報解禁前のウィンターインターンシップが開かれる1~2月の時期は5日間以上の時間を企業も学生も確保するのが難しいことも背景にはある。
3省の改革案もインターンシップを柔軟に運用できるようにするものだ。現在は採用広報解禁前のインターンシップで得た情報を、採用に使わないよう企業に求めていたが、それを採用にも使えるようにすることで、企業側にメリットを与え、インターンシップのさらなる拡大をもくろむ。
いずれの動きもインターンシップを企業と学生の出会いの場として重視している点で共通している。これまで以上に、インターンシップの重要性は増し、就活成功のカギになっている。