総合外食産業で深刻化する”人手不足” 「景気がいいから…」と喜べない事情とは?
厚生労働省が5月30日に発表した4月の有効求人倍率(季節調整済)は1.08倍。求職者1人に対し、求人が平均で1.08人分あるということだ。やっと雇用に少しずつ明るさが見えてきた。同日、総務省統計局が発表した4月の完全失業率は3.6%。この状態が続けば、いずれ賃金の引き上げにつながる期待がふくらむ。
人手不足は、外食業や建設業などで特に深刻だ。外食大手では、パートが集まらないために営業時間を減らしたり、店を閉める事態が発生している。パート時給の引き上げが広がることが期待される。
よかった、よかったと単純に喜べない面がある。なぜならば、今の人手不足は、好景気だけが原因で起きているわけではないからだ。背景には、構造的な少子化の進展がある。今のまま若年人口の減少が続くと、日本企業は国内で働き手を見つけられなくなり、海外に出ていくしかなくなる。
まず、以下の人口ピラミッドを見てほしい。
2010年の日本の人口ピラミッド:年齢別・男女別の人口構成
日本の人口には2つの山がある。1つは、60歳代「団塊の世代」、もう1つは30歳代「団塊ジュニア」である。団塊ジュニア世代より若い世代になると、人口がどんどん少なくなることが、人口ピラミッドを見るとわかる。
ここ10年で、20代の若者の数はかなり減った。そのため、若者向けビジネスは、年齢ターゲットを変えざるを得なくなってきている。20歳代向けのビジネスが主体だった会社が、30~40歳代向けのビジネスに転換してきている。
たとえば、セブン-イレブンは、10年前には20代の若者が外で食べる飲食物を中心としていた。今は40~50歳代の女性が買っていく家庭食メニューを充実させている。ファッション雑誌も20代向け企画が減り、アラサー・アラフォー・アラフィフ向け企画が増えている。
国内の労働者不足を緩和する鍵と考えられているのが、女性の就業拡大である。昔は、専業主婦が多かったが、若い世代では夫婦共働きが増えている。また最近は、子育てを終えた主婦が再び働きに出るケースも増えている。
ところが、日本企業には、いまだに夫が会社で働き妻は専業主婦という家庭を前提とした労務管理を行っているところが多い。共働きで、家事・育児・介護を分担していく夫婦が、無理なく働き続けられる制度を、早急に設計していく必要がある。
