大企業健保、さらなる負担増も 国保の赤字穴埋めで浮上

総合大企業健保、さらなる負担増も 国保の赤字穴埋めで浮上

公的医療保険制度の新たな改革論議が21日、始まった。財政基盤の弱い国民健康保険(国保)の運営主体を市町村から都道府県へ移す厚生労働省の方針に、都道府県が難色。代わりに浮上してきたのが、75歳以上の高齢者医療制度向けに企業の健康保険や公務員の共済組合がお金を出し合う「総報酬割」の拡大だ。大企業の健保組合の負担がさらに増す可能性が出てきた。

議論の場は、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会。21日の会合で、7月までと9~12月の2回に区切って議論していく段取りが決まった。審議会の議論がまとまれば厚労省は与党との調整に入り、2015年の通常国会に関連法案を提出する方針だ。

新たな改革の大きなテーマの一つが国保の都道府県移管だ。政府の社会保障制度改革国民会議が13年にまとめた報告書にも盛り込まれていた。退職した高齢者らが加入する国保は低所得者の安全網ともいえる。都道府県移管は、運営を市町村から都道府県に移すことで規模を大きくし、財政基盤を強化する考え方だ。

ところが都道府県側は受け入れに難色を示す。年間約3千億円に上る国保の赤字は、市町村の税金で補填している。この赤字構造が変わらなければ、移管しても都道府県の負担が増すだけで、根本的な解決にならないと考えているからだ。

そこで浮上したのが、75歳以上の高齢者医療向けに、加入者の所得に応じてお金を負担しあう「総報酬割」の拡大だ。

拡大によって大企業の健保組合の負担は最大で1300億円、公務員の共済組合は800億円それぞれ増える。逆に、中小企業の健康保険である全国健康保険協会(協会けんぽ)の負担は2100億円減る。

結果として、協会けんぽが受け取る国庫補助分が要らなくなる。浮いたお金を、国は国保の赤字穴埋めに振り向けることができるというわけだ。

健保組合にとっては追い打ちだ。大企業の会社員が入る健保組合の保険料引き上げが相次ぎ、14年度の平均保険料率は過去最高の8.8%。総報酬割拡大はさらなる負担増になるからだ。

健康保険組合連合会の白川修二副会長は「サラリーマンからの保険料を国保へ持っていくというのは、一部であっても容認できない」と話す。21日の会合でも「高齢者医療全体の負担を問題とすべきだ」と強調した。

利害が複雑に絡み合う国と自治体、健保組合、協会けんぽ。改革論議は難航必至だ。