社員の健康、健保を健全に 医療費削減ひと工夫

総合社員の健康、健保を健全に 医療費削減ひと工夫

企業の健康保険組合が膨張する医療費を抑えようと社員の健康増進に取り組んでいる。日産自動車は病気になる可能性が高い健保加入者に的を絞った個別の健康指導を始めた。大和証券グループ本社はウオーキングの実績に応じて景品を出し、三菱電機は加入者の健康状態が改善した事業所を表彰する。健保の8割が赤字に苦しむなか、できるだけお金をかけずに財政を再建しようと懸命だ。

グループ全体で約15万人の加入者がいる日産は、健康診断や診療報酬明細書のデータをもとに約1万5千人を「高リスク」と認定。生活習慣病にかかるリスクが高いとみられる人や、使った医療費が多い人に的を絞り効率的に健康指導する。

特に力を入れているのが65~74歳の世代への取り組みだ。OBや家族など約1500人の対象者のうち健診結果が思わしくない約700人の自宅に案内を送り、保健師が健康増進を働きかける。「家族が案内を見て健康管理を後押ししてくれる」(日産健保の高萩文男常務理事)。2013年度にはこの世代の1人あたりの医療費を前年度より12%減らすのが目標だ。

三菱電機は適正体重や運動習慣などから加入者の健康状態を示す独自指標を開発。平均値が改善した事業所を表彰する制度を10月に始めた。上位には賞金も出す。同健保は12年度に30億円の経常赤字だったが、「健康増進活動がなければ、さらに赤字が膨らんでいた」(同健保事務局)と手応えを感じている。

花王は健診結果が改善した加入者などにポイントを付与する。たまったポイントは健康器具と交換できる仕組みだ。ローソンはスマートフォン用アプリで食事のカロリーや歩数を記録し、加入者が日常的に健康を意識するよう促している。

一足早く結果を出しているのが大和証券。希望者に歩数計を配り、定期的にウオーキングのイベントを開く。専用サイトでランキングを集計し、1日の歩数が1万歩超の上位参加者にイチゴやサクランボといった賞品を贈る。運動への意欲が高まり、この3年で肥満状態の社員が3%減った。

健康保険組合連合会(健保連)によると、13年度は全健保の8割超が経常赤字となり、赤字総額は4500億円を超す見通しだ。保険料収入の6%に相当する額で、同年度に保険料率を上げた健保は4割に上る。加入者の高齢化で今後も負担が増す可能性は高く、費用をかけずに医療費をどう抑制するかは健保共通の課題だ。

厚生労働省は生活習慣病の予防などを目的にした「データヘルス計画」を来年4月に始める。IT(情報技術)を活用した効果的な健康管理を全健保に促すが、「企業健保の取り組みは予想以上に進んでおり、病気予防の効果が期待できる」(保険課の高橋雅之・社会保障専門調査員)という。