総合リクルート上場、人材サービス世界一視野
リクルートホールディングスが16日、東京証券取引所第1部に上場した。株式時価総額は1兆9115億円となり、国内では今年最大の新規株式公開となった。主力事業の人材・販促サービスは国内市場の縮小が避けられず、海外展開で成長する戦略を描く。峰岸真澄社長は「上場で中期的に7千億円程度の投資余力を得た」と説明。人材・販促の両分野で海外企業のM&A(合併・買収)を進め、世界一を目指す。
■世界では売上高5位
リクルートの終値は3330円と公募・売り出し価格(公開価格)を230円上回った。市場から見た企業価値を示す時価総額は東証1部で上から43番目に付けた。
16日の東京株式市場で日経平均株価は一時前日比400円超下げる荒れた展開だったが、リクルートの株価は公開価格を一度も下回らずに推移した。英系運用会社ドルトン・キャピタル・ジャパンの松本史雄氏は「国内の雇用環境が改善するなか、ネット展開による成長性や海外要因に業績が左右されにくい点が評価できる」と話す。
「2020年に人材サービスで、30年には販促分野でグローバルナンバーワンを目指す」。峰岸社長は16日の記者会見でそう語った。
リクルートは07年に人材派遣のスタッフサービス・ホールディングスを買収した。人材派遣業と就職サイト「リクナビ」などを手がける人材メディア事業を合わせた人材サービス事業の売上高は14年3月期に約8800億円。国内首位で、2位のテンプホールディングスの2倍以上の規模だ。
しかし同分野で世界首位に立つスイスのアデコの売上高は約2兆5000億円にのぼり、リクルートは世界5位にとどまる。10年以降に米国の人材派遣会社3社と求人検索大手の米インディードを買収して海外事業を拡大しているが、世界大手はなお先にいる。
株式公開の最大の目的はM&Aのための資金調達だ。リクルートは新株発行と自社株売り出しで最大約1000億円を調達する。株式交換で海外企業を買収する選択肢も得た。峰岸社長は「向こう3~5年で合計約7千億円の投資ができるようになった」と語った。
■人材流出を懸念
今後の懸念材料の一つは人材流出だ。リクルートの筆頭株主は社員持ち株会で発行済み株式の約1割を保有する。起業家精神に富む人材が多いだけに、上場を機に株式を売却して独立する人材が相次ぐ可能性がある。
株式公開で投資家の監視の目は強まる。峰岸社長は「企業風土は上場後も変わらない」と否定したが、成長の原動力としてきた自由な社風が損なわれる恐れもある。
峰岸社長は記者会見の最後で創業者の故・江副浩正氏の「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という言葉を持ち出し、「上場という機会において、さらに進化し続けていく」と語った。創業から半世紀以上が経過した「元祖ベンチャー企業」ともいわれるリクルートの底力が試される。
リクルートホールディングス 1960年に故・江副浩正氏が前身の大学新聞広告社を創業。88年にグループ会社の未公開株を贈賄したリクルート事件が発覚。その後のバブル崩壊もあり、1兆4000億円の有利子負債を抱えてダイエーの傘下に入った。2000年にダイエーから株を買い戻してダイエーグループを離脱した。
07年のスタッフサービス・ホールディングスの買収で人材派遣業では国内首位。このほか就職サイト「リクナビ」などの人材メディア事業、不動産情報サイト「SUUMO」や宿泊予約サイト「じゃらんnet」などの販促メディア事業を柱とする。
