ベテラン社員、都市から地方へ 総務省が人材バンク

総合ベテラン社員、都市から地方へ 総務省が人材バンク

総務省は地方創生の一環として、東京など大都市圏の企業で働くベテラン社員を地方の中小企業に紹介する人材バンクを2014年度中に創設する。対象は大手企業の経営企画や商品開発などで管理職や専門職の経験がある40~50歳代が中心。人材不足が事業展開のネックになっている地方の中小企業が新規事業や海外展開などの担い手を確保しやすくする。

地域経済の底上げに向け、総務省は全国で中小企業が1万件の新規事業を立ち上げることを目標に掲げる。これを後押しするため地方の中小企業、地域金融機関、自治体などの連携を強める方針で、人材バンクはその柱の一つになる。新しい法整備が必要なく早期に取り組めるため、地方創生の具体的な事業として打ち出す。

人材バンクは来年3月までに設立し、15年度から人材の紹介を始める。設立準備は人材派遣大手のパソナグループで、中高年層の人材紹介などを手がける日本雇用創出機構(東京・千代田)の協力を得て進めている。

当初、大手企業の中高年層を中心に500~600人程度の登録を目指す。地方の出身で地元への再就職を望む人や、地方へのIターンの希望者ら地方での事業に取り組みたい人の登録を受け付ける。勤務地などの希望を考慮し、専門的な人材を求める地域の中小企業を無料で紹介する。

地方の中小企業が新規事業や海外展開などに取り組む場合、その分野に強い人材の確保が課題になることが多い。登録する人材は経営企画や商品開発、人材育成、知財部門、海外事業などで専門的な経験を積んだ人を想定しており、地域の中小企業の経営や部門を率いる立場で力を発揮してもらう。

人材バンクの創設に先立ち、総務省が13年度に都市部企業のベテラン社員を地方の中小企業に紹介するモデル事業を日本雇用創出機構と組んで実施したところ、大都市の企業から地方の中小企業に転職した案件が12件あった。

営業力の強化を目指す北海道の食品加工会社に東京の電機関連の専門商社に勤務していた人が移ったほか、全国展開を検討する鹿児島の畜産業者には東京の化学会社の営業担当者が転職した。総務省は「都市部、地方ともニーズは大きい」と判断し、本格的な人材バンクの創設に踏み切る。

政府の人材バンクには民業圧迫との見方もある。ただ人材派遣業界では「地方への転職希望者を個別に紹介する例はあるが、人材バンクのように全国規模で人材の流動化を促す仕組みはない。軌道に乗れば民間にも刺激になる」(人材派遣大手)との声が出ている。

人口減少が進む地方では都市部からの移住者を増やすことを重視している。総務省は人材バンクとは別に、東京や大阪に移住の相談窓口を15年度に新設する方針だ。ベテラン社員だけでなく、UターンやIターンを希望する即戦力の人材を幅広く集め、地方経済の活性化につなげる。