人事評価の仕方にもPDCAを回すべし

総合人事評価の仕方にもPDCAを回すべし

日立製作所が10月から国内管理職を対象に新たな人事評価制度を導入する。この機に人事評価制度について一言もの申し上げておきたい。

世界共通の人事評価基準を採用

日立製作所が先頃、国内管理職の約1万1000人の賃金体系について、年功要素を廃して世界共通の人事評価基準で決める仕組みを10月から採用すると発表した。こうした仕組みにより、仕事の役割の大きさと個人・組織の成果評価を直接的に報酬に反映し、組織と個人の成果を最大化することで、グローバル競争で勝ち抜く個人と組織づくりを目指す構えだ。

同社では従来、国内の人事評価制度は各社員の職務遂行能力などに応じた資格を基準としていた。資格ごとに賃金・賞与のレンジを設定し、そのレンジの中で成果評価に応じて金額を増減させる仕組みとなっていた。だが、同じ資格でも役割の大きさは社員ごとに異なる場合があり、役割の大きさを報酬に反映する新たな仕組みが必要となっていた。

2011年10月からは、国内管理職を対象として、資格に基づく資格給と職位に基づく職加算給の2つの要素からなる賃金体系を導入したが、職位のレベルや呼称が組織によって異なるなどの課題があった。

そこで今回、この10月からは、同社グループの世界共通の尺度で役割の大きさを格付けした「日立グローバル・グレード」(管理職以上の7グレード)を国内管理職の賃金・賞与の基準とすることにした。同時に、世界共通の業務プロセス管理・成果評価の仕組みである「グローバル・パフォーマンス・マネジメント」による成果評価と賃金・賞与の決定基準を連動させることで、役割の大きさ・成果評価と報酬の関係を一層明確にした形だ。

また、2015年度からは業績向上への意欲を一層高めることを目的として、年初にグローバル・パフォーマンス・マネジメントで設定する組織と個人の目標に対応する「期待年収」を提示する。その上で、1年間の事業運営を通じた組織と個人の業績の結果を賞与に反映する。これにより、個人・組織の年度業績と、一人ひとりの人事評価との連動を明確化し、年度当初に設定した目標達成にとどまらない業績向上への意欲を喚起するとしている。

士気に直結する人事評価制度

かつては年齢とともに賃金が上がる年功制が当たり前だった日本の大手製造業も、1990年代以降、能力や成果を重視した人事評価制度に変えてきた。さらに最近では、グローバル化やダイバーシティといった人材の多様化に対応した人事施策が求められている。日立製作所の今回の取り組みはそれを象徴した動きといえる。

日本の製造業を代表する1社である同社が本格的に「脱・年功制」に乗り出したことで、能力・成果重視の傾向が国内でも一層強まるのは間違いなさそうだ。

だが、この機に人事評価制度について一言もの申し上げておきたい。それは、具体的な人事評価の仕方についても常にPDCAを回して改善を怠らないようにすべきではないかということだ。というのは、これまでいくつもの企業の人事評価制度への取り組みを取材してきた中で、実際の評価の仕方において、評価される側の納得感が得られていないケースが多々あったからだ。

端的に言えば、能力や成果をどう評価するのか。もちろん、営業成績や顧客満足度、削減したコストなど数値で示せるものは評価に直結するが、上司の目など人的な評価については公平・公正さに欠けることも少なくない。

誰がどのように評価したのか。その内容は公平・公正か。その評価スキームに欠陥はないか。こうした点を常にチェックして改善を図っていかないと、本来、社員の士気を高めるはずの評価制度がどんどん士気を低下させていく元凶になってしまいかねない。筆者はそうした企業をいくつも見てきた。

人事評価制度は人材育成・教育やキャリアアップなどとも密接に絡む。人事部門、ひいては経営者のそれこそ「マネジメント能力」が問われる。より良い人事評価制度に仕立てていくためにも、その実践方法についてもPDCAを回すべきだと考える。