部下のモチベーションを上げる、たった2つの心理テクニック

総合部下のモチベーションを上げる、たった2つの心理テクニック

部下にわかりやすく指示を伝えたつもりが、サクサク動いてくれず、成果も出ない…。そんなことはありませんか?もし答えが「はい」なら、そもそも部下はあなたのことを信頼していないのかもしれません。そんなあなたのために、今回は部下からの「信用貯金」の貯め方と、部下のモチベーションを上げるたった2つの心理テクニックをご紹介しましょう。(伝える力【話す・書く】研究所所長 山口拓朗)

部下の信頼がなければ何を言ってもムダ?

たとえば、あなたが毛嫌いしている上司から「一流の営業マンになりたかったら、毎日、営業日誌をつけるように」と言われたらどうでしょう?あまり乗り気にならないのではないでしょうか。中には「何を偉そうに。自分だって二流じゃないか!営業日誌なんてつけるもんか!」と心の中で反発する人もいるはずです。

一方で、同じ言葉を、あなたが尊敬してやまない上司から言われたとしたらどうでしょう?「○○さんがそう言うならやってみよう」と素直に取り組むのではないでしょうか。おもしろいもので、同じ言葉でも、“誰が言うか”によって受け取り方が大きく変わるのです。

このことを逆に考えると、一つの傾向が見えてきます。上司が部下に何かを伝えるとき、部下から信頼・尊敬されていれば、上司の言葉が受け入れられる確率は格段に高まります。一方で、部下から信頼されていなかったり、毛嫌いされていたりすれば、上司の言葉が受け入れられる確率はガクンと下がってしまいます。

つまり、伝え方うんぬん以前の問題として、自分と相手の間にある「心理的な壁」の高低が、伝え方に大きな影響を及ぼすのです。仮に、あなたが「○○さんは信頼・尊敬するに足る」「○○さんは人間的にすばらしい」と部下に思ってもらえているとしたら、心理的な壁は低い状態といえるでしょう。この場合、あなたの伝えたことは、部下にスムーズに伝わっていきます。おそらく、部下はスムーズに行動してくれるでしょう。

部下を動かす「信用貯金」の貯め方

では、部下との間の心理的な壁を低くするには、どうすればいいのでしょうか?その方法は「信用貯金を増やす」ということです。たとえば、上司であるあなたが、日ごろから以下のような言動や振る舞いをしていれば、あなたの「信用貯金」はどんどん貯まっていきます。

【「信用貯金」が貯まる言動】
・率先して仕事をする
・何事にも誠実に対応する
・部下の話をよく聞く
・部下のために行動する
・部下に興味と関心をもつ
・部下にしっかりとあいさつをする
・部下のことをよく褒める
・部下のミスの責任を負う
・愛を持って部下と接する
・部下に対して心をオープンにする
・謙虚な姿勢で部下と接する

一方で、あなたが日ごろから、以下のようなことをしていると、いざというとき部下に言葉を受け入れてもらいにくくなります。

【「信用貯金」が貯まらない言動】
・仕事をしない
・部下の悪口を言う
・部下の否定、批判ばかりする
・部下に嫌味を言う
・自慢話や武勇伝が多い
・部下にあいさつをしない
・部下の話を聞かない
・態度が横柄、傲慢(部下を見下ろす)
・部下の話に耳を傾けない
・部下に興味や関心をもたない
・部下に対して心を開かない
・部下のミスの責任を負わない

部下に「自分のこと」や「自分の言葉」を受け入れてもらいたければ、まずは心を開いて、あなたの方から「部下のこと」や「部下の言葉」を受け入れなければいけません。

部下のモチベーションを上げる2つの心理テクニック

さて、「信用貯金」が増えてきた上司向けに、2つの心理テクニックをご紹介します。部下に依頼や指示をする際、彼らのモチベーションを高めて、より“やる気”にさせるには、どうしたらいいでしょうか?その一つが「部下にとってのメリットを伝える」という方法です。以下の伝え方を比べてみてください。

【伝え方A】
今回のプロジェクトのリーダーは君に任せる。頑張りなさい。
【伝え方B】
今回のプロジェクトのリーダーは君に任せる。若いうちにリーダーを経験しておくことで、将来マネジャーになったときに必要な、あらゆる資質とノウハウを身につけることができるはずだ。貴重な機会だから、頑張りなさい。

あなたが部下であれば、自分にとってのメリットが把握できる【伝え方B】のほうが、より“やる気”になるのではないでしょうか。【伝え方A】の場合、「単に面倒な仕事を押し付けられた」と捉えてしまう部下もいるかもしれません。本人のやる気を損ねる伝え方は最悪です。

場合によっては「頼りにしている旨」を伝えることで、部下のやる気が引き出されるケースもあります。以下の伝え方を比べてください。

【伝え方C】
酒井くん、今回の視察のレポートをまとめてもらえるか?
【伝え方D】
酒井くん、今回の視察のレポートをまとめてもらえるか?わかりやすく的確なレポートを書かせたら、君より右に出る者はいないからね。力を貸してもらえると嬉しいのだが。

あなたが上司にこう言われた場合、快く受け入れたくなるのは【伝え方D】ではないでしょうか。「君より右に出る者はいない」と評価してくれているほか、「力を貸してもらえると嬉しい」という言葉も心に響きます。意気に感じた部下は「よし、(上司のためにも)いいレポートを書こう」と思うはずです。

「信用貯金」+「心理テクニック」で目指せ、伝え上手!

部下に物事を伝えるときは、ただ「情報が伝わればいい」というわけではありません。部下があなたの話をしっかりと受け取り、そのうえで仕事の成果につながる行動を取ることが理想的ではないでしょうか?そのためには、部下のモチベーションを上げて、より“その気”になる伝え方をしなければいけません。

とりわけ、先ほどお伝えした「部下にとってのメリットを伝える」と「頼りにしている旨を伝える」という2つの心理テクニックは、部下がサクサク動かないという悩みをもつ上司にとって、強力な武器となるでしょう。

もちろん、こうした心理テクニックも、その前提として、冒頭でお伝えした「信用貯金」が増えていなければ、効果は見込めません。「信用貯金」を増やすことは、すべての「伝え方」に優先して行うべき下準備です。「信用貯金を増やす」+「心理テクニック」のコンビネーションで、伝え上手な上司を目指しましょう。