総合トップ営業マンのトークはどうして分かりやすいのか
トップ営業マンと呼ばれるような人たちと話をすると、皆、説明が上手で分かりやすいということに気がつく。こうしたトークの内容自体はとてもまねできないが、どんな方法で練習しているのか、どんな点に気をつけているのか、などといった点は大いに参考になる。(営業サポート・コンサルティング代表取締役、営業コンサルタント 菊原智明)
トップ営業マンの
トークは分かりやすい
私はさまざまな業界のトップ営業マンとお会いさせていただく機会がある。お会いしていつも思うのは、そのセールストークの素晴らしさだ。変に売り込みくさくなく、非常に分かりやすい。
間の取り方も上手なため、思わず引き込まれてしまうほどだ。こういった営業マンとお会いすると《とてもまねできないなぁ》と感じる。こういった人と話すと圧倒されるものだ。
10年以上の間、たくさんのトップ営業マンのトークを聞いてきた私が感じるのだから、経験年数の浅い営業マンはなかなか参考にしにくいかもしれない。近くにトップ営業マンがいたとしても《あの方と自分は次元が違うから》と、参考にできないと感じてしまうケースもあるだろう。
とはいえ、せっかく結果を出している人が近くにいるのに“参考にしない”というのは非常にもったいないものだ。まねできるところは学び取り、少しでも吸収したほうがいいに決まっている。
では、どんな部分を参考にすればよいのだろうか?
トークの「内容」ではなく
「トレーニング方法」を参考にする
それはトークの「内容」ではなく、トークの「トレーニング方法」を参考にしたほうがいい。
イチロー選手のバッティングフォームをまねしてもヒットは打てないように、トップ営業マンのトークだけなぞっても意味はない。ただし、練習方法は参考になる部分はある。
過去のテレビ番組のインタビューで、イチロー選手は「とにかく毎日バットに触れる」といった話をしていた。これなら短時間であればある程度実行できる。
私は草ソフトボールをやっているが、これは非常に効果的。365日とはいかないが、できる限り毎日バットに触れ、そして素振りをした。たった1つの練習法だが、これだけでも十分な結果が出たのだ。
イチロー選手が努力を積み重ねた結果「天才バッター」と言われるようになったように、天才営業マンたちも効果的なトークの練習を積み重ねている。それはどんなものなのか?私はずっと探していた。
たわいない話題でも
トップ営業マンは説明が上手
最近、1つ気づいたことがある。トップ営業マンは仕事とは関係ない、「たわいない話題」だとしても説明がとても上手ということだ。
その実例を紹介しよう。
研修先の営業マンと集まり雑談をしていた時のことだ。あるお笑い芸人の話になった。そのお笑い芸人が「誰でどんな人物なのか」ということになったのだが、その際、その芸人について、あるトップ営業マンが非常に分かりやすく説明していた。案の定、その説明を聞いて、みんな「あぁ、見たことありますよ」と思い出すことができた。
これには「何か秘密がありそうだ」と感じた私は、そのトップ営業マンに「どうしてそんなに説明がうまいのですか?」と質問してみた。
すると、この方はしばらく考えた後、「あぁ、それはおばあちゃんのおかげかな」と言った。
この方のおばあちゃんはすべてを「あれ」「それ」などの代名詞で話す。何かをお願いする際は「それのあれ取ってくれ」と言いだす。一緒に過ごしていない限りほぼ理解不可能だという。
そんなおばあちゃんには、芸能人の名前を言ってもなかなか伝わらない。「どんな顔で何をしている芸能人」など、特徴を正しく伝える必要がある。そこで、あれこれと工夫しているうちに説明がうまくなったというのだ。確かにこれはいいトレーニングになりそうだ。
とにかく天才的な営業マンといわれる人もしっかりとトークの練習をしている。セールストークだけでなく、プライベートのちょっとした話でも《どう話せばより分かりやすく伝わるか》と考えながら話をしているのだ。
これは誰でもある程度は実行可能である。プライベートのちょっとした話をより分かりやすく伝わるように意識してみる。家族でも仲間でもいい。
こうした一つひとつの積み重ねがトークの向上につながってくる。
トークの秘訣は
クリアに話すこと
もう1つご紹介させてほしい。
別のトップ営業マンの方と話をしていた時のこと。トークの秘訣(ひけつ)を聞いたところ「内容よりクリアに話すことを心掛けています」と回答してくれた。
というのも、この方は「ミスコミュニケーションのほとんどは早口によるミス」と言っていた。私の友人でも何を言っているか分からない人がいる。
聞き取りにくい人でも「もう1度ゆっくり頼む」と言えばたいていは理解できるものだ。
アナウンサー並みとまではいかなくとも「ゆっくりハッキリ話す」ことはできる。そういう意識を持っただけでも違うだろう。今までお客さまに伝わらなかったのは、内容の問題ではなく、聞き取りにくかっただけというケースも少なくない。
「分かりやすく説明する」+「クリアに話す」ように練習をする。
これが習慣化したとき、あなたは人から「なんでこんなにうまく説明できるのですか?」とみんなから驚かれることになるだろう。