週休3~4日でも正社員、昇進もあり (働き方探検隊)

総合週休3~4日でも正社員、昇進もあり (働き方探検隊)

「育児休暇後すぐに週5日働くのは不安だったけれど、週休3日であればハードルが低かった」。アクセンチュアの江上桜子さん(31)は振り返る。3歳の子どもを育てながら、コンサルタントとして1日6時間、週4日働いている。

江上さんは同社が2016年に始めた「短日短時間勤務制度」を利用している。正社員に週3日・計20時間以上という短い勤務を認める制度で、育児、介護、ボランティアのいずれかが取得の条件だ。これまでに約1万人の社員のうち数百人が利用したという。

江上さんは基本的に水曜日を休みにしている。「たまった家事や買い物をこなすだけでもあっという間に1日は過ぎてしまう」。そのうえで、「2日頑張って1日休むというリズムが、アタマも体もリラックスするのに向いていて仕事への集中力が高まる」と話す。

■業務棚卸しで効率勤務

出社する日は午後4時半ごろに退社し、保育園に子どもを迎えに行く。「限られた勤務時間の中でどこまで仕事を進められるか、逆算して考えるようになった」。日々、業務を棚卸しして優先順位をつけ、何時までに何をすべきかを明確にしているという。

週5日働く人には「時間の量では勝てない」。不在の日やこなしきれない仕事は見切りを付け、理解してくれる同僚の協力も得ている。顧客との会議などは主にテレビ会議が多く、在宅で出席することもあるという。実績が認められ、昨年12月には部下を持つマネジャーに昇進した。

同社の制度では週20時間以上働くのであれば、週休4日も可能だ。働く日よりも休む日の方が多いわけだが、テクノロジーコンサルティング本部の市本真澄シニア・マネジャー(44)は火曜日と木曜日を休んでいる。出勤日の月、水、金は1日7時間ずつ働く。

現在は育休明けの社員の面談に応えたり、障害のある社員の活躍推進などが仕事。残業が無ければ週21時間勤務だ。40時間のフルタイムで働く場合に比べると、給料は半分近くになる。

市本さんは「もともと上の子どもの就学時にPTAの負担や学童の待機児童など『小1のカベ』を懸念していた」と話す。現在も9歳と5歳の子育て中で、制度導入直後から週休4日を利用し始めた。

子育ては市本さんが想定したよりも負担が小さかったというが、自らの将来の夢に向けて、毎週木曜日の午前中はボランティアに充てる。主に知的障害者が働く就労継続支援施設で軽作業を手伝う。「会社以外でできることはないかと考えた。いずれ自ら障害者の就労支援を手がけるための勉強中」と話す。

週5日の時短勤務も経験したが「周囲も5日いるから相応のアウトプットを誤解して期待する。3日だと明確に違うと認識されるので、自分や周囲の期待値もコントロールできるようになった」と話す。精神的な余裕が仕事の循環を円滑にしている。

アクセンチュアは短日短時間勤務制度の導入と同時に、多様なキャリアプランに合わせて評価制度も見直した。従来は初期の細かい目標設定に基づき、組織への貢献度を相対評価してきた。

■社名が「週休3日」

新制度では社員ごとに成果を発揮しやすい環境や志向するキャリアに応えるために、各自が設けた成長目標をどれだけ達成できたかを必要に応じて見直し、絶対値で評価する。このため、週休3~4日といった働き方を選んでも、それだけで評価が下がるといったことがなくなる。

「労働基準法が定めた週40時間をベースに正社員の勤務時間を当てはめがちだが、自社の事業のためにどう働いてもらうのがベストか再定義すべきだ」と指摘するのは、株式会社「週休3日」(浜松市)の永井宏明社長だ。週休3日の働き方を広めようと社名に掲げ、現在は主に調剤薬局向けに週休3日の条件で人材紹介を手がける。

永井氏はもともと介護付き有料老人ホームで施設長を務めていた。試験的に週休3日制を導入したところ職員の離職率は下がり、仕事への活力が高まっていくのを見てきた。「少子高齢化の時代で介護や育児の重要性は高まり、より柔軟な働き方が求められている。実際のニーズはもっと高いはずだ」と話す。

育児や介護などをきっかけとした離職の防止や、多様な考え方を持った社員を増やして企業を活性化するためにも、週休3~4日といった多様な働き方が一段と注目されそうだ。

 育児や介護といった理由以外でも短時間で勤務できる「短時間正社員制度」への注目度が高まっている。厚生労働省の2016年度の調査によると、短時間正社員制度を導入する事業所の割合は21.2%と、前年度に比べて6.2ポイント上昇した。育児などが影響しているためか、利用するのは女性が約85%と圧倒的に多い。
短時間正社員は通常のパートタイム社員と主に2つの点で異なる。厚労省の定義では、企業との労働契約に期間の定めがなく、時間あたりの基本給や賞与・退職金の算定方法がフルタイム正社員と同等になっている。
パートやアルバイトに比べて企業の負担は重くなるケースも多いが、人手不足が続いているなか「短時間でもいいので、しっかり働ける優秀な正社員を確保したい」といった企業の思いが見えてくる。
ただ、中小企業にはややハードルが高い制度でもある。調査では事業所規模が500人以上の場合は導入率が4割近くに迫るが、500人未満では3割を切っている。
一方、厚労省の17年の調査では完全週休2日制より「休日日数が実質的に多い制度」を導入する企業は6%にとどまる。そもそも毎週必ず2日間が休みとなる「完全週休2日制」の導入企業は依然として46.9%と半数以下。週休3~4日という休み方が一般化するにはまだハードルは高そうだ。