総合外国人・女性の取締役、主要企業の7割が起用
取締役に多様な人材を起用する企業が増えている。今月の株主総会終了後に外国人か女性の取締役がいる主要企業の割合は7割弱まで高まる見通し。東京証券取引所が取締役会に多様性を持たせるように促し、起用に弾みがついている。多様な人材をコーポレートガバナンス(企業統治)の強化につなげる狙いだ。
日経平均株価を構成する225社のうち、5月末までに株主総会の招集通知を開示した3月期決算の170社について宝印刷が集計した。

リクルートの取締役になるロニ-・カーン氏
外国人の取締役がいる企業は36社と7社増えた。調査対象企業に占める比率は初めて2割を超えた。ソニーは外国人取締役を2人から3人に増やす。リクルートホールディングスは12年に買収した米求人情報サイト大手インディードの創業者であるロニー・カーン氏を取締役に選任する。
パナソニックは28日、ローレンス・ベイツ氏が法務担当取締役に就任する。外国人の取締役は初めて。米ゼネラル・エレクトリック(GE)法務部門の日本担当などを歴任したベイツ氏を招き、同氏のグローバルな視点を法務部門などの強化につなげる。
川崎重工業は米国の女性弁護士ジェニファー・ロジャーズ氏を社外取締役に起用する。同氏は日本興業銀行(現みずほ銀行)やメリルリンチ日本証券などで弁護士や法務責任者として活躍。15年から三井物産でも社外取締役を務めている。

トヨタ自動車の社外取締役に就任する工藤禎子氏
女性役員(取締役、監査役を含む)がいる企業は112社で全体の66%と前年より7ポイント増える。女性役員を新たに選任するか増やす企業は28社にのぼる。トヨタ自動車は14日の株主総会で、初の女性取締役として三井住友銀行の工藤禎子常務執行役員を選任した。
東証は15年に導入した企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)を6月に改定。取締役の構成について「ジェンダーや国際性の面を含む」との文言を加え、外国人や女性の起用を国内上場企業に促した。
機関投資家も取締役会の活性化につながるとして、多種多様な人材起用を促す。ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの小野塚恵美氏は「取締役の多様性を確保することは重要」と話す。取締役に女性を起用する際は、外部の人材を登用するケースが多いが、コマツは人事部長などを歴任した浦野邦子氏を選任する予定だ。
人材の多様化は取締役会のあり方も変える。アドバンテストは昨年から取締役会の言語を英語にした。外国人取締役や執行役員との「情報共有が円滑になった」(吉田芳明社長)という。
企業の積極姿勢はみえるが、道のりは半ばだ。内閣府が17年に全上場企業を対象に実施した調査では、取締役に監査役などを加えた「役員」に占める女性の割合は3.7%と、15年時点の米国の18%やフランスの34%と大きな差があった。
今回の調査でも、対象企業の全取締役に占める女性取締役の割合は5.4%にとどまった。
人材不足も課題だ。ソニーの社外取締役に就任予定の岡俊子氏は三菱商事や日立金属など3社の社外取締役もしくは監査役を兼務する。弁護士や大学教授など経歴が偏るケースも目立つ。
今後は外国人や女性の人数を増やすだけでなく、多様な人材を企業価値の向上にどうつなげるかが問われそうだ。
