総合入社後の「こんなはずじゃなかった…」はどうして起こるのか
近年、注目が集まっている“働き方改革”だが、これから社会人になる人や新入社員にとって長い社会人生活に不安は付き物ではないだろうか。特に、入社3年目は依然として離職率が高いといわれている。イキイキと自分らしく働くためにはどんなことを心がければよいのか?『入社3年目からのツボ 仕事でいちばん大事なことを今から話そう』著者・森憲一氏が、仕事人生を生き抜くコツをアドバイスする。
入社後「こんなはずじゃなかった…」をなくすためには?
あなたは、「仕事」にどのようなイメージを持っているだろうか。特に、この春から社会人になる人は希望と不安でいっぱいかもしれない。
しかし、入社3年以内での離職率は高く、離職理由の多くは、「仕事がきつい」や「仕事がおもしろくない」だという。つまり、就職する学生たちが会社に「幻想」や「妄想」を抱いて入社してしまうケースが多いということだ。なぜ、学生と会社の間にそのようなすれ違いが起こってしまうのだろうか。
原因の一つとして、近年みられる就活の進め方が考えられる。自分が就職したいと思う会社についての情報を得ることは、就活をする上で欠かせないことだ。しかし、いまはインターネットや会社説明会で情報収集をするのみで、実際に足を運んだりその会社の商品を購入したりする人は実に少ないという。
それでは、リアルな仕事内容や現場を知らないま入社して、「こんなはずじゃなかった…」と幻想が打ち砕かれるのは当然の現象だ。
実際に、このような事例がある。サービス業の社員の面接で、「接客が好きです!」「お客様にありがとうと言われる仕事がしたいです!」と答える人は、意外と長続きしないというのだ。
サービス業はたしかにお客様から「ありがとう」と言われる仕事だが、もちろんそれだけでない。最後に「ありがとう」と言ってもらえるまでに、きつい仕事、汚い仕事、クレーム対応と華やかでおもしろくない仕事がほとんどだからである。仕事は、決して外から見える部分だけで成り立っているわけではないのだ。
まさにそれを表すような言葉を、私は会社員時代に上司からよく言われていた。それは、「仕事は段取り9割。成果は1割」。
9割の地味な仕事を一つひとつ積み重ねていくことで、初めて1割の成果にたどり着けるということである。
その上司は、そこにもう一言加えたという。
「9割のつまらない仕事をきっちり積み上げることができたならば、1割の成果に対する喜びは10割をはるかに超える。それが仕事の楽しさなんだ」
その喜びを味わうためには、まずは仕事への幻想を捨て、現実をきちんと見つめる必要がある。地味な仕事を積み重ねていく中で、ふと「あ、楽しいかも」と感じることができれば儲けもの、ぐらいに考えると仕事への向き合い方も変わってくるかもしれない。
「なんでもやります!」が言えるかどうかで
仕事人生が決まる
「皆さんは、まだ会社の色に染まっていない。だからこそ、私たちにはない新鮮な視点で、会社の課題や疑問などをどんどん言ってください!」
入社したばかりや若手社員の頃、教育担当者や先輩社員にこんなことを言われたことはないだろうか。
実は、この言葉を文字通り受け止めてしまうと、これから仕事をしていく上ではとても危険なことである。ここで大事なのは、人から言われたことを「文字通り受け取る」前に、「この人は、なぜこのようなことを言っているのだろうか?」を考えてみるということだ。
たとえば、冒頭の言葉は先輩社員が、新入社員や若手社員が早く力を発揮できる環境をつくってあげたいと気を遣っているのかもしれない。しかし言葉を真に受けて、何も考えないでストレートに発言したり、思いつきで行動してみたりすることは、あなたにとっても会社にとっても百害あって一利なしである。
では、仕事をする上で若手社員はどう行動するべきなのか。それは、「何でもやります。」「教えてください。」という姿勢を示し、行動することである。
よく見ると、“できる人”はいくつになっても目上の人にこのような姿勢でいることが多い。「知っていること」「できること」をアピールするよりも、自分が「知らない」「できない」ことを知っている方が、他者からも可愛がられ、会社の戦力にもなれるからである。
「働くこと」は一人で何かをするのではなく、結局他者と協力して会社の目指す目標を追い続けなければならない。もちろん時には、自己主張することも必要だろう。しかし、それ以上に大切なのは、会社の仲間と良い関係を築いて信頼されること、仕事を任せてもらえることだ。
まずは、身近な上司の言葉や行動を「なぜ?」の視点から観察してみてはいかがだろうか。今まで見えてこなかった仕事の“真髄”がだんだん分かってくるはずだ。
「働き方改革」によって求められる能力とは?
最近、活発に言われ続けている「働き方改革」。政府が掲げている重点項目はいろいろあるが、中でも「長時間労働の是正」は誰にとっても身近で関心が高い部分ではないだろうか。
「長時間労働の是正」によって、時間の使い方は大きく変わってくる。たとえば、子どものいる家庭では空いた時間で夫婦が共同で子育てができるため、女性が働きやすい環境をつくることができる。他にも地域活動への参加や自己成長の時間に費やすなど、“できること”が広がっていくのだ。
そのような流れから「ワークライフバランス」や「有給休暇の取得」など、プラスの面ばかりが取り沙汰されているが、実はここに大きな落とし穴があるのをお気づきだろうか。
いま、ほとんどの会社では、人口減少による人手不足に悩まされている。しかしだからといって、業績向上や成長発展を諦めるわけにはいかない。つまり、これからの課題は、「少ない人数で、短い時間で、今以上の業績を達成しなければならない」ということだ。
もちろん、勤務時間を減らしたり、いろいろな働き方を提案するなど職場環境が改善されることは喜ばしいことだ。だが、それによって、一人ひとりの「能力」や「成果」がこれまで以上に重視される厳しい時代にもなったということを覚えておいてほしい。
特に、若手社員は「早く帰れる」「自分の時間が持てる」などと能天気なことを言っている場合ではない。これからは、スピードと効率をより求められるようになるため、若手社員は一日でも早く一人前にならなければならないのだから。
そう考えると、この「働き方改革」は自分の能力を一気にレベルアップすることができるチャンスでもある。時間が限られた中で、いかにうまく仕事をこなしていけるか工夫していくことは、自分自身の“改革”にもなるかもしれない。