部下の早期離職を防ぐために上司がとるべき7つの対策

総合部下の早期離職を防ぐために上司がとるべき7つの対策

かねてから問題になっている若年層の早期離職問題はまだ続いている。人手不足が重なり、企業はますます人材を取り逃がすことができなくなってきた。やっとの思いで優秀な人材を採用したと思っても、早期離職に至るといった事態は避けたい。

上司の立場としてはどうすればいいか。部下の早期離職を防ぐための対策をビジネス講師に聞いた。


■近年の新卒早期離職率の状況

若年層の早期離職状況はここ数年どうなっているのか。厚生労働省の「新規学卒就職者の学歴別就職後3年以内離職率の推移」によると、大学卒の3年以内の離職率は年々減ってはいる。まだまだ20~30%台にある。

【大卒の離職率】
平成24年 32.3%(3年以内)
平成25年 31.9%(3年以内)
平成26年 32.2%(3年以内)
平成27年 22.3%(2年以内)

■若年層の離職の主な理由

若年層の離職にはどのような理由があるのだろうか。

労働政策研究・研修機構が平成28年に行った調査によると、新卒3年以内離職者の「初めての正社員勤務先」を離職した理由のランキング結果は次のようになっていた。

【男性】
第1位 労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため 34.0%
第2位 肉体的・精神的に健康を損ねたため 29.9%
第2位 自分がやりたい仕事とは異なる内容だったため 29.9%
第3位 人間関係がよくなかったため 27.5%
第4位 仕事が上手くできず自信を失ったため 26.4%
第5位 賃金の条件がよくなかったため 24.3%

【女性】
第1位 肉体的・精神的に健康を損ねたため 34.3%
第2位 労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため 33.2%
第3位 人間関係がよくなかったため 29.7%
第4位 結婚・出産のため 25.8%
第5位 自分がやりたい仕事とは異なる内容だったため 23.4%

主に労働条件と心身の健康が理由として多く、次いで人間関係、仕事内容となっていた。

■若年層の離職を防ぐには?上司の対応ポイント7つ

こうした若年層の離職を防ぐために、上司としてはどのような対応方法が考えられるだろうか。株式会社トライアンフにて管理職研修などの講師を務める松澤勝充さんに、その具体的な対応のポイントを7つ挙げてもらった。

1.部下を観察する(行動の特性、感情の浮き沈み度合い)

「まずは、会社の中でどんな振る舞いをするタイプの人間かを把握しましょう。よく話すタイプなのかどうか、行動のスピード、仕事への意欲など、行動事実からタイプを理解することが大事です」

2.信頼関係を構築する(相手の目線に立つ)

「一定レベルで観察をしたら、まずは上司から会話してあげることが大事です。初めは『初めてのことは大変だから、困ったことがあったらいつでも相談してね』と言ってあげるだけで十分です。緊張をほぐすことを意識しましょう」

3.部下の価値観を把握する(目標・仕事への価値観)

「お昼など、休憩時間のコミュニケーションを有効活用しましょう。そのタイミングで、なぜこの会社に入ったのか、将来やってみたいと思っていることはあるか、入ってみて何を感じているか(入社後のギャップなど)を確認しましょう。大事なポイントはこの話を否定しないこと。初期の段階では『この上司は私を理解しようと思ってくれている』と部下に思ってもらうことが大事です」

4.部下の育ってきた環境(家族関係・友人関係)を理解する

「現代の若者は家庭環境もさまざまです。両親、友人にどんな人がいたかを聞いてみましょう。また、中学・高校・大学でどんな生活を送ってきたか、何を大事にしてどんな意思決定をしてきたかを確認してみてください。分かりやすいのは大学の選定理由やクラブ活動のことです」

5.本人の自己理解度をチェックする(性格・強み・弱み)

「前提情報を確認したら、改めて自分の性格や強み・弱みを、本人がどう認識しているかを確認していきましょう。上司から見て、納得・共感できる要素が多い子は自己認識が高い部下で、これからの指導も論理的に一貫していれば、受け入れ、改善できる可能性が高いです。一方、自分を過大評価して良く見せようとしている、または自分を過小評価する部下に対しては意図的に失敗体験を積ませたり、成功体験を積ませたりすることが大事になります」

6.定期的な会話の場を持つ

「コーチングの世界では『ラポール形成』という言葉があります。基本的には、人は他者に対して多かれ少なかれ警戒をしているものです。この警戒心を取り除いてあげるために、ミラーリング(相手と同じ動作をする)、マッチング(声の大きさ・スピード)、バックトラッキングなどコミュニケーションも工夫をしましょう」

7.フィードバックする

「1~6で一定の関係構築、つまりお互いが思っていることを話せる状態ができれば、部下の仕事や生活習慣に対して、何かフィードバックしてあげてください。この場合も、本人の目標や課題に対してフィードバックしてあげることが大事です。『“一般的に”これができて当たり前だから』という偏見で、相手に何かを望んでしまうとフィードバックが単なる『騒音』になってしまいますのでご注意ください。あくまで『その目標を達成するには、これができているけど、あとはこれとこれが必要だよ』などの本人に沿ったフィードバックを」

■「退職させない」を目標にはしない

総じて、松澤さんは部下の早期離職を防ぐための考え方について次のように話す。

「一社に永続的に所属することを前提とするような、就社の時代は終焉を迎えています。まずは退職させないことを目標・目的にしたコミュニケーションを辞めるべきです。

そうではなく、部下が『仕事は大変だけど頑張ってよかった!』と達成感を感じるきっかけや、『こんな仲間ができて嬉しい』など、ともに働く仲間との深い関係からくる親和欲求を満たしてあげること。そして上司として『本人の人生がより良くなるために、自分はどんなことをしてあげられるか』を考え、行動していただければと思います」