総合転職活動で知っておきたい 求人・募集ルールの変更 2018年1月10日 2018年1月から施行された改正・職業安定法
こんにちは、「ワークルールとお金の話」の佐佐木由美子です。就職・転職活動をするときに、まず気になるのは労働条件ではないでしょうか。求人票や募集要項等において最低限明示しなければならない労働条件等が、2018年1月から職業安定法や告示等の改正によって新たに追加されました。そのポイントを確認しておきましょう。
最低限明示されるべき労働条件とは
就職・転職活動をするとき、求人サイトや気になる企業のホームページなどで、まず募集要項を確認するのではないでしょうか。企業が求人募集をする際、あまり知られていませんが、一定の労働条件を明示することが職業安定法で定められています。
労働者の募集や求人申し込みの際、少なくとも以下の事項を書面の交付で明示するものとされています。なお、求職者が希望する場合は、電子メールによることも可能です。
1.労働者が従事すべき業務の内容に関する事項
2.労働契約の期間に関する事項
3.就業の場所に関する事項
4.始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間・休日に関する事項
5.賃金に関する事項
6.健康保険、厚生年金保険、労働者災害補償保険、雇用保険に関する事項
2018年1月1日以降、上記に加えてさらに「試用期間」、「募集者の氏名又は名称」、「派遣労働者として雇用される場合には雇用形態に派遣労働者であることを記載」することが追加されました。裁量労働制を採用している場合は、1日何時間働いたものとみなされるのか、時間数の記載も必要となります。
また、改正点で注意したいのが、時間外労働・休日労働等の有無にかかわらず、一定の割増賃金を支給する制度(いわゆる「固定残業代」)が採用されている場合です。これまで、基本給に固定残業代が含まれていることが明示されず、トラブルとなるケースが後を絶ちませんでした。
そこで誤解のないように、時間外労働、休日労働、深夜労働分についての固定残業代を除いた本来の基本給はいくらか、固定残業代は何時間分の時間外手当としていくら支給されるのか、その計算方法(固定残業代の算定の基礎として設定する労働時間数と金額)の記載が必要となりました。さらに、固定残業時間を超える時間外労働、休日労働、深夜労働分についての割増賃金を追加で支払うことも明記されることとなりました。
しかし、求人媒体によっては、掲載スペースが限られているため、すべてを明示できないケースも考えられます。やむを得ない場合には、「詳細は面談による」などとした上で、労働条件の一部を別途明示することも可能とされています。ただし、その場合でも、会社は初回面接など求職者と最初に接触する時点までに、すべての労働条件を明示すべきとされています。
求人内容で不明点がある場合や、最低限明示されるべき労働条件が明らかでないときは、最終的な答えを出す前に、きちんと会社側に確認をするようにしましょう。入社してから「こんなはずではなかった」ということのないようにしたいものです。
入社してから労働条件に変更があった場合
募集段階で明示していた当初の労働条件と、入社時の労働条件が変更される、ということは時々起こり得ることです。あるいは、基本給が20万~25万円などのように範囲で金額が示されているようなケースでは、実際にいくらとなるか、明示してもらわないと分かりません。
このように、当初明示した労働条件が変更される場合は、可能な限り速やかに、変更内容について明示することが、今回の職業安定法の改正により義務付けられました。
当初の明示と変更された後の内容を対照できる書面があれば一番望ましいですが、労働条件通知書において、変更された事項に下線を引いたり着色したりする方法や脚注を付ける方法でも、求職者が適切に変更内容を理解できればよいとされています。
変更明示が適切に行われていない場合や、当初の明示が不適切だった場合、募集企業は行政による指導監督や罰則等の対象となることもあります。
職業安定法で最低限明示しなければならないとされている労働条件は、どれも今後働く上で重要なものばかりです。そのため、当初の労働条件に変更があった場合は、その内容を把握した上で、労働契約を締結するかどうか再考したいものです。
もし、変更した理由について知りたいときは、会社へ質問してみましょう。職業安定法に基づく指針では、変更理由の質問を受けたときは、適切に説明を行うことを求めています。
そして、労働契約を締結するときは、労働条件通知書又は雇用契約書の内容をしっかりと確認することです。労働基準法では、労働者を雇い入れる際に、一定の労働条件については書面で明示することを使用者に義務付けています(労働基準法第15条1項)。この内容は、労働者の募集を行うときに明示される内容と重なるものもありますが、退職や解雇事由に関することなど、募集時には明示されなかったことも含まれています。
変更明示がされていないような場合は、この段階で「最初に聞いていた条件と違う」ということも起こり得る可能性があります。特に労働条件が労働者にとって不利に変更されているような場合は、注意が必要です。
入社後に気持ちよく働くためにも、自分がどのような労働条件で契約を締結するか理解しておくことは、とても大切といえるでしょう。

