総合人材投資「増やす」6割 社長100人調査 賃上げには慎重姿勢
人材確保が厳しくなるなか、経営者が人材投資に前向きになっている。日本経済新聞社が13日まとめた「社長100人アンケート」では、6割が人材投資を増やすと回答した。政府が求める3%の賃上げを検討する経営者は1割にとどまった。9割が国内景気が拡大していると回答しているだけに、賃上げに関する経営者の判断が消費動向を大きく左右しそうだ。
アンケートは国内主要企業の社長(会長など含む)を対象に3カ月に1回実施している。今回は11月22日~12月11日に実施し、142社から回答を得た。
2018年度の研修など人材投資の費用(教育訓練費などを含む)を聞いたところ、17年度と比べて「増やす」(21.8%)と「どちらかといえば増やす」(36.7%)の合計が58.5%に達した。増やす理由として最も多いのが「イノベーション創出」(45.8%)で、「生産性の向上」(33.7%)が続く。
経営者の関心が人材投資に向かう一方で、賃上げには慎重な姿勢が続く。18年の春季労使交渉について聞いたところ、9.2%の経営者が自社の賃上げ幅は3%台が適当と答えた。19.7%が18年にベースアップ(ベア)を検討しないと回答。17年より高いベアは4.9%にとどまった。
国内設備投資の増加や堅調な世界経済を背景に、経営者の景況感は改善している。国内景気の現状を「緩やかながら拡大している」(87.3%)、「拡大している」(2.1%)とみる経営者は計89.4%に達した。国内についての景況感は、2年半ぶりの高水準となった。
国内景気の拡大局面が続くなか、主要企業の経営者が人材投資に力を入れようとする背景には、労働力人口の減少がある。足元ではサービス産業を中心に人手不足が深刻化している。現状の従業員の充足感について聞いたところ、人手が不足していると感じる経営者は41.5%だった。
ただ今後は人工知能(AI)やロボットで業務の置き換えが進み、潜在的な人材の余剰感も強まりそうだ。5年後の人材の充足感では、人手が余ると回答した経営者が10.6%あった。すでにメガバンクでは大規模な人員削減を検討する動きが本格化している。人材余剰への対策を複数回答で聞いたところ、非正規雇用の抑制が66.7%あったほか、外部委託の縮小も40.0%あった。
製造現場から事務まで幅広い分野で省人化投資が増えている。伊藤忠商事の岡藤正広社長は「創造性の高い仕事へのシフトやスキル習得が不可避だ」と指摘する。経営者にとって将来の人員余剰を見据えた人員配置や業務量の最適化も求められている。