総合好きな仕事だけど続けられない 30歳前に考えた転職 人も職場も好きなのに、体がついていかない販売職からの転身
新卒で入った会社で配属されたのは、残業続きで、休みを取るのもままならない店舗での販売職。好きで入った会社ではあったけれど、体調も崩しがちになり、もう限界……。「とにかく土日休めて、普通の時間に帰れる仕事に就きたくて」と派遣の事務職として働いていた彼女が、正社員になろうとチャレンジしたのは営業職。30歳を前に見つけた「30代も働き続けられそうな仕事」とは。
クリスマスもお正月も休めない職場
「30歳を前に、この先もずっと働き続けられそうな仕事に就きたいと思って、今の会社に転職しました」
広告代理店で、広告の営業職に就いている麻衣さん(仮名・30歳)は、今の会社に転職して半年。
既存のクライアントを中心に、営業活動に飛び回る日々だが、「展示会など忙しいときは残業や休日出勤もありますが、きちんと休みも取れますし、社内は『なるべく早く帰りなさい』というムードなので、残業が続くということもありません。先輩には子育てと両立しているワーキングマザーもいるので、長く続けられそうな安心感がありますね」と穏やかに話してくれた。
麻衣さんが、「長く働き続けられること」にこだわるのには理由がある。新卒で入社した会社で「働き続ける」ことができず、3年半で辞めることになったからだ。
麻衣さんが入社した会社は生活雑貨を扱う大手小売業。かわいらしい雑貨などが好きな麻衣さんは、マーケティング職を志望し、この会社に入社。しかし、「当時は会社の方針で、新入社員は研修後、全員店舗に配属され、何年か販売職を経験してからでないと本社勤務は希望できない、というルールになっていました」。
そのため、麻衣さんも研修後は店舗に配属され、2年目からは売り場マネジャーを任されることに。「私が配属された店舗は、繁華街にあり、本社からもしばしば視察に来るような大型のモデル店舗でした。常に注目されていて気が抜けないですし、繁忙期は来客数も多くて、とにかく大変でした」
売り場マネジャーの仕事は多岐にわたる。商品の在庫管理、売上管理、アルバイトやパートスタッフのシフト管理、商品レイアウトなど、朝から晩まで売り場を走り回っていた。特に忙しいのが、多くの客が訪れる、春休み、夏休み、冬休みの時期だ。
「普段から忙しいのですが、特にクリスマス、お正月シーズンはもう思い出したくないほどつらかったです。11月ごろから働きづめで、ようやくクリスマスが終わったと思ったら、一晩で売り場を片付けて、今度はお正月。毎年体調を崩していました。
休日は月に8日と決まっていたのですが、来客の多い土日はほぼ休めませんし、忙しいときは11日連続勤務ということもありました。アルバイトやパートの販売スタッフがシフトに入れなかったり、当日欠勤があったりすると、結局私が入るしかないんですよね……」。
また、残業が深夜まで及ぶこともしばしばで、「朝7時半に出勤して店を出るのが12時過ぎになってタクシーで帰る、なんてことも多々ありました」。
退職を決意した、ある出来事
朝から晩まで働きづめで、友人ともほとんど会えず、付き合っている彼とのデートもままならない日々。それでも麻衣さんは3年半、必死に働いた。
「一緒に働いていた同僚もすごくよかったし、扱っていた商品も職場も好きだったんです。でも、体調を崩しがちになり、気持ち的にも限界でした」
繁忙期が訪れるたび、貧血による立ちくらみの症状に襲われ、生理不順となり、体調がすぐれない日々が続いたが、会社や同僚に迷惑を掛けるわけにはいかないと、休まず売り場に立っていた。そんな麻衣さんの心を打ち砕いたのは、新卒採用にまつわる、ある噂だった。
「採用の方針が変わり、本社採用と店舗採用が別になるという噂でした。まさかと思ったのですが、本当にその通りになりました。私たちは新入社員全員が店舗配属となっていて、本社勤務を希望してもなかなかその通りにならないのに、あっけなく採用方針が変わって、入社時から本社勤務となる人がいるなんて、どうにも納得できませんでした」
この一件から会社に対する不信感が生まれ、麻衣さんは退職を決意した。しかし、あまりに忙し過ぎて、転職活動をすることもままならない。実際に動いたのは、クリスマスシーズンを迎える前の9月。「またあの忙しいクリスマスが来ると思ったら、辞めるのは今だと思ったのです。同僚たちに迷惑を掛けずに辞めるなら今しかない、と」――。
とにかく先に辞めることを決意した麻衣さんの生活は、この後一変する。
続く。

