働き方改革で睡眠施策を導入する企業が増えている理由

総合働き方改革で睡眠施策を導入する企業が増えている理由

去る11月7日、都庁トップによる「都庁働き方改革」が宣言され、いっそう働き方改革に対する関心が高まる昨今。日本人有業者の睡眠時間は世界的にみても短いことは有名だが、今年は各社で、働き方改革に睡眠施策を取り入れる企業が続々と登場した。

今年発表された総務省統計局による平成28年度社会生活基本調査の結果では、日本人の平均睡眠時間は男性が7時間45分、女性が7時間35分となり、男女ともに過去10年で最低の数値(女性は平成18年と同値)を記録した。特に、有業者の睡眠時間は男女平均で7時間13分という結果となり、これは社会生活基本調査が開始された昭和51年からの約40年間で最も短い時間となった。昨今、働き方改革が進んでいるが、日本人の睡眠時間は今もなお、減少し続けているようだ。

出典:社会生活基本調査(総務省統計局)

出典:社会生活基本調査(総務省統計局)

TV番組での特集を契機に、の特集により一気に認知が広がった「睡眠負債」。わずかな睡眠不足でも、日々積み重なることにより命に関わる病のリスクが高くなったり、日中のパフォーマンスが低下したりすることが明らかになっている。また、睡眠不足による日本の経済損失は約15兆円という研究結果も非営利研究機構ランド・ヨーロッパから発表されており、これは日本のGDPの2.92%、国家予算の1/6に相当する。このGDP比は調査対象の5か国(アメリカ、ドイツ、イギリス、カナダ、日本)の中でも最大の数値となっており、不眠は日本の経済成長にも大きな悪影響を与えていると言える。

そんな中、7月には食品メーカーの味の素が、睡眠の専門医、大川匡子医学博士の監修の元、独自の睡眠改善プログラムを開発。8月上旬には自社社員に向け勉強会を実施し、2週間のプログラムを実践させたところ、半数近くが仕事のパフォーマンスの満足度が向上し、また平均的な業務時間が13分短縮するなど、既に睡眠改善による働き方や私生活への好影響が見え始めている。実際にプログラムを実施した社員からは「朝が苦手だったのですが、目覚ましより早く目が覚めすっきりとした朝をむかえることができた」「熟睡感や翌日の活動も改善することができました」などの声も上がっている。

味の素“睡眠改善プログラムwith グリナ”睡眠に関するアンケート(事前/事後)2017年8月より

西日本旅客鉄道(JR西日本)は、富士通と共同開発した睡眠改善支援システムを今年4月から導入。このシステムは、睡眠状態をセンサーで自動計測したデータから可視化、分析し、睡眠改善のアドバイスを実施することで、乗務員の業務レベルの向上を目指すというもので、2017年度中に、乗務員が所属する全ての職場へ導入する方針が発表されている。

睡眠解析システムのニューロスペースは、牛丼チェーンの吉野家の店長50人を対象に、睡眠改善のための人工知能を使用した実験を開始すると発表。就寝中の心拍や呼吸を計測し、スマートフォンと共同で、eラーニング教材『睡眠力アップ基礎講座』を8月にリリースした。インターネットを通じて、自身の睡眠パターンのチェックや、睡眠のメカニズムや睡眠の質を向上させるノウハウを学ぶことができるという。

このような状況について、大川匡子・医学博士は次のようにコメントしている。
「忙しい日本のビジネスマンの睡眠時間は世界各国と比べて短く、睡眠状態が非常に悪いのではないかと言われています。長い間、不眠不休で働くことが美徳とされてきた日本の悪い習慣かもしれません。
睡眠健康推進機構としても、ビジネスマンの睡眠について、個人だけでなく、企業側からも社員の睡眠指導をする時期ではないかと考えておりました。
健康的に働き続けるためには、十分な睡眠が必要不可欠です。睡眠が不足すると、前日の疲労感が抜けなかったり、日中に眠気を感じたりして、作業効率の低下にも繋がります。近年、『働き方改革』として様々な社内制度を進める企業も増えていますが、より良く働くためには、より良い休息をとることも非常に重要です」