パイロット不足 格安のモデルが危うい

総合パイロット不足 格安のモデルが危うい

安い運賃で急成長してきた格安航空会社(LCC)の視界が曇ってきた。パイロット不足で大量欠航が相次いでいる。国は定年延長など即効性ある対策も検討中だが安全が揺らがないよう望みたい。

 LCCが日本に誕生して約二年になる。現在は全日空系のピーチ・アビエーションとバニラ・エア、日本航空系のジェットスター・ジャパンの三社に加え、中国の春秋航空、楽天と提携したエアアジア・ジャパンが参入する予定だ。

 大手の半額程度という安い運賃を武器に旅行やビジネス客の支持を集めている。ピーチが二〇一四年三月期決算で初の営業黒字(二十億円)となるなど各社の経営は比較的順調だ。

 しかし、各社が路線拡大を図る中でパイロット不足が大きな経営課題となっている。世界的にLCCなどの航空需要は高まり、パイロットの争奪戦が起きている。

 ピーチは五月から十月までに最大二千便を減便する予定、バニラも約百五十便の欠航を発表した。

 そもそもLCC国内三社が同時期に参入できたのは、日本航空の経営破綻に伴いパイロットや乗員らが大量に退職、人材確保がしやすかったためだ。少ない人材や機材を効率的に使って格安運賃を実現する経営モデルゆえに、人手が不足すると運航が危うくなる弱みを露呈した格好である。

 国土交通省は、六月末に開いた有識者会議の提言を基に対策を順次実施するという。

 この中で即戦力の活用としては、現在六十四歳までとするパイロットの年齢上限を一~二歳延ばすことや、飛行経験が長い自衛隊パイロットからの転職支援、海外のライセンス保持者の試験内容を簡素化することなどを検討する。

 長期的な対策では、パイロット養成の四割を占める航空大学校の定員拡大や、一部の私立大学にある養成コースで千五百万円程度という高額の学費負担を軽減する補助制度などである。

 パイロット養成には時間がかかるため、ある程度即戦力に頼るのはやむを得まい。しかし、人材確保を優先するあまり、安全面が後退するようでは本末転倒である。年齢が高くなれば判断力の衰えや病気のリスクは高まる。

 年齢制限を緩和するのであれば、航空医学の専門家による知見を集め、身体検査のあり方などに万全を尽くすのは言うまでもない。自衛隊員や外国人ら外部からの活用にも、訓練の過大な簡素化は禁物だ。