自治体間の奪い合い激化 土木・建築分野の人材

総合自治体間の奪い合い激化 土木・建築分野の人材

建設業界における空前の人手不足を背景に、自治体間で土木・建築分野の人材をめぐる獲得競争が激しさを増している。これまでは一定の“すみ分け”があった官・民の間でも「垣根を越えた奪い合いが起きている」(県人事課)。採用戦線異状あり-。 (花井勝規)

■6割増

 県は、土木・建築系職員の来春の採用予定者数を前年比65%増の七十一人に拡大した。県によると、記録が残る一九七〇年以降で最多だった九二年の六十七人を上回る。

 老朽化した公共施設や道路などのインフラ整備で業務量が増え、人手が足らない状況が予想されるためだが、主な理由は定年退職者の多さにある。

 これまでは退職後は本人の希望で「再任用」という形で仕事を継続する職員が多かったが、建設業界で引く手あまたの状況が生まれ、再任用を希望しない傾向が強まっているという。このため新人採用で埋める必要に迫られている状況だ。

■苦肉の策

 深谷市は来春採用予定の職員募集で、技術職の土木技師と建築技師の名称をともに「まちづくり技師」に変えた。

 土木技師は道路や河川工事などの設計、監督、維持管理が主な仕事だ。建築技師は建築工事の設計や監督、建築物の審査、指導などを担う。

 「まちづくり技師」も仕事の内容は同じだが、募集時だけ名称を変えた。「働き方を具体的にイメージしやすい名前にした方が応募意欲が高まるのでは、と考えた」(市人事課)という苦肉の策だ。

 市は職員募集のポスターを六年ぶりに作製し、市のマスコットキャラクター「ふっかちゃん」を登場させた。昨年の「ゆるキャラグランプリ」で全国四位の人気にあやかり、注目度を上げる作戦だ。県が採用枠を増やしたこともあり、市は「採りはぐれてしまう」と危機感を募らせる。

■特需の業界

 公共投資に大なたを振るった小泉政権時代以降、「コンクリートから人へ」の政策を採った民主党政権まで、建設業界は長い“冬の時代”を過ごした。だが今は、公共投資の拡大を図る安倍政権の政策や震災復興関連、さらに東京五輪が加わって空前の特需に沸く。

 こうした中で、熊谷市内のある業者は「採用の巧拙が社の命運を左右する、と言っても言い過ぎじゃない」と話すが、人材確保は難航しているという。川口市内の業者も「仕事量は増えているのに採用が追いつかない」と漏らす。

 県建設業協会の山崎薫事務局長は「業界全体が縮んでいたところに人を増やせと言われても…。3K職場と呼ばれる建設業界に進んで就職しようという若者が急に増えるとは想像できない」と話した。