総合男性育休取得、会社が勧める時代へ
取得100%の日生 「働き方 効率的に」
育児休業は男女ともに取れる。しかし、妻が出産した男性のうち、育休を取得したのはわずか2・03%。
そんな中、男性の取得率100%の企業がある。男性も育休を取ることで、効率的な働き方を意識するようになるという。
「業務に影響なし」
日本生命は4月、昨年度に同社の育休制度の対象となった男性職員279人全員が、平均1週間程度の育休を取得したと発表した。
前年度までの男性の取得者は年間10人未満。急増の決め手となったのは同社が「男性育休100%」を目標として掲げたことだ。人事部が対象者全員に取得計画を提出させ、取れない場合は直接、本人と上司に連絡を取り、取得を促した。
「会社や上司の勧めがなければ、育休を取らなかったかもしれません」と話すのは、昨年11月に7日間の育休を取得した商品開発部の荒川史朗さん(31)。妻の尚子さん(31)も会社員だが、平日は、長女の結香ちゃん(2)の世話のほとんどを尚子さんに任せっきりだった。
育休中は、当時1歳の結香ちゃんの世話をしながら、食事や洗濯などの家事もした。「妻が帰宅後の限られた時間に、大変な思いをしていることがよく分かった。できるだけ早く帰って手伝おうと思いました」
尚子さんは「育休以来、夫が私を気遣ってくれるようになりました。子どもを遊びに連れ出してくれたり、家族での外食を増やしたり」と喜ぶ。
大勢の男性職員が育休を取ることで、業務に影響はなかったのか。同社人事部の浜口知実さんは「カバー体制などを各組織が工夫したので問題はありません。むしろ、男性職員が効率的な働き方を意識するようになり、職場の雰囲気が良くなっています」と話す。
育休取得者の中には管理職もいたが、業務を部下に任せることで部下の意欲が向上したり、職場全体のコミュニケーションが活発になったりする効果もあったという。
平均1週間の育休は女性に比べればかなり短いが、「短くても男性全員が取ることで、育児や介護を抱える同僚を理解し、支え合って働く風土を作っていきたい」と期待している。
男性の取得を増やすには、同社のように会社をあげての取り組みが必要になる。旭化成や花王でも、人事部が上司に部下の育休取得を促すなどして、男性社員の取得率が4割にまで上がった。
地方の企業でも同様の取り組みがある。愛媛県の菓子製造会社「あわしま堂」(従業員800人)では昨年、男性社員も含めた育休対象者全員に5日間の取得を義務づけた。「意識改革と、働きやすい環境づくりが狙い」という。
職場の理解カギ
男性社員に育休取得を促す企業はまだまだ少ない。内閣府の昨年の調査では、育休を取りたかったが、取れなかった男性の約半数が、その理由を「職場の理解」と答えた。一方で、就職情報会社「マイナビ」が来春卒業予定の男子学生に行った調査では、4割が「育休を取って積極的に子育てしたい」と回答した。
父親の育児を支援するNPO法人ファザーリング・ジャパン創設者の安藤哲也さんは「男性も育児ができる企業でないと、いい人材が集まらなくなる。経営者や上司が意識を変えなければならない」と話す。(宮木優美)
夫婦交代でお得
4月から、育児休業中に雇用保険から支給される給付金の額が、休業前賃金の2分の1から3分の2に増えた。
ただこれは育休開始から6か月まで。それ以後は2分の1に減ってしまう。原則、子が1歳になるまでの支給。
だが給付額が減るタイミングで夫が交代で育休を取れば、夫にも最長で6か月間、休業前賃金の3分の2が支給される。夫婦合わせると、子が1歳2か月になるまでの支給となる。
