総合幸せな転職は、ピザパーティで決まる! 「こんなはずじゃなかった」が減る
グローバル企業が徹底する社員紹介経由の採用
ダイレクト・リクルーティング成功の秘訣は、大きな母集団を作ることにあります。「10人採用するなら1000人に声をかけよ」という法則は、連載の第2回にお話ししたとおり。母集団が大きければ大きいほど精度の高い採用が可能になるということは、ご理解いただけたかと思います。
中でも重要なのは、社員の紹介による入社です。会社を知り尽くした社員が「この友人、知人なら自分の会社で力を発揮してくれるはず」と感じた人を紹介するという方法は、とても理にかなった採用方法です。
実際、シリコンバレー発のグローバル企業では、採用担当者は社員紹介経由の入社を重視しています。「採用担当者は社員紹介を促進することがいちばん重要な仕事である」と断言する大手IT企業のトップもいらっしゃるほどです。
社員紹介を増やすためにどういう企画を立てて、どういう施策を打つと効果的かを考えるのが、採用担当者の大きな仕事だといえます。
中途採用入社の6割が社員紹介
かくいうビズリーチも、2013年の採用実績を見ると、社員紹介経由の入社比率は約6割に上っています。いろいろな方々から、「すごい数字ですね。どのようにやっているのですか?」と聞かれるようになりました。ひとつ秘訣があるとすれば、ビズリーチでは、「リクルーティングは全社員ができる会社貢献である」と考えており、社員全員が仲間を増やすための社員紹介に協力してくれていることにあります。
紹介を促進する具体的な方法としては、前回の記事でもご紹介した「全社横断リクルーティング・プロジェクト」を推進しています。そのほか、スキルの高い社員による専門分野のセミナーの開催からバーベキュー大会まで、硬軟織り交ぜた施策を行い、候補者との接点を増やしています。
こうしたリクルーティング活動に積極的に貢献してくれたメンバーについては、人事評価をするうえで全社貢献という項目でプラスの評価をするようにしています。そのくらい当社にとって人材採用は、全社員が取り組むべき大切なものと考えています。
会社の素顔を見せるピザパーティ
ビズリーチでは、月に1度、第3金曜日の20時から「ピザパーティ」という社内交流会を行っています。もともとは社員だけが参加する会でしたが、今では、社員の紹介であれば誰でも参加できる場になっており、採用説明会よりも社風や社員の雰囲気を感じ取ることができる、と候補者の方からも好評をいただいています。「社内イベントを外部に公開するのはどうか」という声があったのも確かですが、結果的に、採用に非常に効果の高い場となっています。
このピザパーティは、もともとは楽天創業当時、三木谷浩史社長が、楽天市場で売っているものを取り寄せて毎週、社内でパーティをしていたというエピソードからヒントを得て始めました。急激に成長していく会社で、部署横断的なコミュニケーションを促進するために行っていたと聞いています。
ビズリーチのピザパーティも、社員間の交流を促進し、自分が所属している部署以外の取り組みにも精通するようにというのが最大の目的で、創業当時の5年前から毎月、欠かさず開催してきました。
2年ほど前、僕はその場に面接を終えて入社を迷っていた方を呼んでみました。会社の雰囲気を感じ、いろいろな立場の社員と話をして本音ベースのビズリーチを知ってもらったうえで、入社を検討してもらいたいと考えたからです。
結果的に、その人はビズリーチに入社してくれました。社外の人を自社のイベントに呼んで会社を知ってもらうというのも、ひとつのダイレクト・リクルーティングのやり方なのだなと気づいた瞬間でした。
それ以降、「社員の友人や知人でビズリーチに興味を持ってくれる人がいたら、ピザパーティに自由に参加してほしい」と呼びかけています。社員にとっても、「採用面接を受けてみないか?」と誘うよりも、「会社に遊びに来ないか?」のほうが誘いやすいですよね。
現在では、ピザパーティの運営は毎月、社員が部署横断で実行委員となり、いかにゲストに楽しんでいただけるかを大切に行っています。たとえば、1月には鏡開きをしたり、10月にはハロウィンパーティをして全社員が仮装をしたり。駅弁大会と称して全国の駅弁を取り寄せることもあります。100人超が参加するパーティに社外の人が30~40人ほど参加してくれるようになりました。
ピザパーティが入社後の“がっかり”を減らす
ピザパーティに参加してくれる社外の人には、さまざまな立場の人がいます。転職活動はしていないけれどベンチャーの雰囲気を知りたいという人、ビズリーチの選考過程の途中にいる人、内定済みではあるが入社を迷っている人。社員紹介の人だけではなく、人材紹介会社経由など、ほかのルートからビズリーチの選考に参加してくれている方もお呼びするようにしています。
おそらく求職者の方々にとって、面接担当者以外の社員の人たちの顔が見えたり、その人たちの本音が聞けたりするのは、またとないチャンスだと思います。会社の実態をちゃんと見て、どういう人たちと働くことになるのかを知ってもらったうえで入社を決めたほうが、入社後に「こんなはずじゃなかった」とがっかりしてしまうことが減るはずです。
実際、ピザパーティに選考中の人たちを呼ぶようにして以来、内定の受諾率が上がりました。また、離職率もとても低く抑えられています。
「集客」から「ファン」へと自然に展開させる
実は、この考え方の背景として、楽天にいたときの経験がヒントになっています。僕が楽天イーグルスの立ち上げに参加していた当時、野球に興味がある人ではなく、野球に興味がない人に興味を持ってもらうための施策をいつも考えていました。
そもそも野球が好きな人は、こちらからの働きかけが多少、不十分であっても、球場に足を運んでくれます。しかし、大多数の人は野球にそれほど関心がありません。そんな人たちに振り向いてもらうにはどうしたらいいか?
僕たちは「居酒屋」と「カラオケ店」が野球のライバルと考え、球場の席にボックスシートを作って、飲食しながら観戦できる席を作りました。また、家族連れに足を運んでもらうために、球場の外でたくさんのイベントを行いました。
たとえば、夏休みにスタジアムの周りをイルミネーションで飾ったり、縁日を作って屋台を出し、金魚すくいなどをしたり、町で人気のスイーツ屋さんを呼んで、野球や選手をイメージしたスイーツを球場前で販売したりと、ついでに野球を見てもらうような施策も考えました。
リクルーティングも、それと似ていて、ファン作りなのです。つまり、最終的に会社に興味を持ってもらうことが目的とするならば、その手段は無数に存在しています。