企業、年金負担軽減急ぐ 全日空・NTT…新基準に備え

総合企業、年金負担軽減急ぐ 全日空・NTT…新基準に備え

企業が年金の負担軽減を急ぎ始めた。全日本空輸やNTTが制度を改定。野村総合研究所は退職一時金の運用を外部委託に切り替えた。株高で運用環境は好転したが、定年退職者の増加で将来の給付に必要な積立金は依然として重荷だ。2014年3月期には新たな会計基準が導入され、積み立て不足が財務体質の悪化につながるため、改革を加速して経営への影響を和らげる。

 将来の年金・退職金給付に必要な金額に対する手元資産の不足額は、13年3月期末でおよそ8兆5000億円(金融や新興企業を除く3月決算上場企業)になる。運用の改善で年金資産が1年前より増加し不足額が減ったものの、なお高い水準だ。資産の運用実績が企業の想定している利回りを下回った場合は、穴埋めの費用が発生し企業の利益を圧迫する。

 14年3月期には日本の会計基準に新たなルールが適用され、積み立て不足を負債として貸借対照表に計上しなければならない。負債が増えて自己資本が目減りし、格付けの低下や資金調達コストの上昇につながる。4~6月期に、この基準を早期適用した味の素は利益剰余金が約70億円減少した。シャープは新基準の適用で負債がおよそ1200億円増える見通しだ。

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 年金の負担を軽減しようと企業は様々な取り組みを始めている。全日空は今期、企業が年金の支払額を保証する「確定給付型」を改め、加入者の運用成績によって受給額が変わる「確定拠出型」への制度変更を目指す。

 確定拠出型では企業は掛け金を拠出するだけで運用のリスクは個人が負う。想定していた運用利回りの分だけ積み立て不足を減らす効果があり、全日空は500億円強ある積み立て不足が100億円程度、減る見通しだ。NTTグループも14年4月から確定拠出型を一部導入する方針。大和ハウス工業は定年を60歳から65歳に変更するのに伴い、年金の支給開始年齢も引き上げた。

 野村総研は貸借対照表に計上していた退職一時金150億円の運用を外部に委託して、貸借対照表から切り離す。同社は退職一時金が年1.5%ずつ増えるルールにしているが、実際の運用利回りはゼロに近く、差額の2億円強を毎年、人件費として計上していた。今後はこの費用がかからなくなり、利益の押し上げ要因になる。

 自社で保有している株式を年金資産に組み込む退職給付信託の設定も相次いでいる。丸紅伊藤忠商事のほか、エーザイ凸版印刷などが実施した。信託設定で年金資産を積み増す効果がある。