女性雇用今の時代の「キャリアの正解」ってあるの?
終身雇用制度が崩れ始め、誰もが「自分らしい働き方」を模索する時代がやってきました。私たちの働き方はこれからどのように変わっていくのでしょうか? 毎回、ゲストを迎えながら、現代日本を生きる働く女性の未来を考えます。今回は人材育成コンサルタントの河野真理子さんに「キャリアの正解」の捉え方について伺いました。

●この人にお話を聞きました
人材育成コンサルタント
(株)キャリアン代表取締役 河野真理子さん
こうの・まりこ/メーカー入社後、1989年にキャリアに関する事業を中心とした人材育成子会社を立ち上げ常務、社長。同社独立後、会長。2013年に一人ひとりの生涯キャリアを支援する会社を設立。最近ではダイバーシティ時代の管理職のマネジメントや、仕事と結婚・子育て両得をめざすキャリアデザインなどの相談も。東京工業大学大学院技術経営修士(MOT)修了。神奈川県教育委員会委員、独)労働政策研修研究機構 総合評価諮問委員、公財)日本生産性本部幹事会幹事、同サービス産業生産性協議会幹事、同ワークライフバランス推進協議会委員、日経WOMANウーマン・オブ・ザ・イヤー審査員/日経WOMAN 企業の女性活用度調査審査員。
「ロールモデルがいない」という声をよく聞きます。でも今はキャリアの形が多様化している時代。特定の“モデル”がなくてもいいのではないでしょうか。“ロールモデルズ”とでも言ったらいいのか、複数のキャリアパターンを組み合わせてお手本にしたらいいのだと思います。
一つの会社にフルタイムで勤め続ける、時短勤務を経て再びフルタイムで働く、働くこと自体を一度辞めてから復職する、退職後に専門学校などで学び直す、これまでの経験を生かして独立・起業する・・・本当に様々なロールモデルがあります。どれが正解で、どれが間違っているということはないのです。大切なのは、あなたの能力・経済・生活環境・仕事環境をトータルで考えたとき、その働き方があなたの生き方・価値観に合っているかどうかということです。
もちろん、自らが所属する組織における「正解(今までの成功事例)」はあります。例えば、日本の組織でありがちなのは、「この会社で部長にまで昇進できる女性は、独身でバリバリ仕事をしてきた人だけ」といったパターン。これからは組織におけるロールモデルももっと多様でいいはずなのですが…。
働き続ける女性が増えてきたのにも関わらず、まだまだ日本の管理職は女性に対して定型のイメージに当てはめがちです。すべての女性が結婚して子どもを持ちたいわけではないし、すべての女性が管理職になりたいわけでもない。もっと女性一人一人を見て、しっかり声を聞いて適材適所を心がけてほしいと感じます。
個人の側も自分の価値観を見極めた上でキャリアデザインしていくことが重要です。働き方が多様化するこれからの時代は、仕事を頑張りたい人もいれば、家庭を大切にしたい人もいます。両者のバランスをどう取っていくのか、選択肢は一つとは限りません。
加えて女性の場合、結婚や出産などのライフイベントが自身のキャリアに与える影響は大きくならざるをえません。
シングルでいくのか、結婚するのか、結婚したら子どもが欲しいのか、ディンクスでいくのか……5年後、10年後ますます家族のあり方は多様になるはずです。多様だからこそ、「自分はどう生きたいのか」をはっきりさせる必要があります。今は「うちは子育てと仕事との両立ができるよ」と言う企業が多いでしょう。しかし、その場合、業務においてかなり高いコミットメントが求められることを覚悟しなければいけません。ところが、「組織の中で管理職になる」ことだけがキャリアの正解ではありません。適性・能力そして生き方は人それぞれですから、自身の価値観をはっきりさせておかないと企業の論理に振り回されてしまいます。
ウーマンオンライン世代の女性たちから、「産むこと」とキャリアとの関係についてどう考えたらいいのか、「産みどきはいつか」と質問されることがよくあります。これはなかなか答えにくい質問です。なぜなら、一概にはとても言えない質問だからです。けれども、その人の中には「ベストな答え」があるはずです。自分の体の年齢と、自分が身を置いている業界・会社の中で人材としてのピークポイントがどこで、自分は何を大切にして生きていきたいのか――そういったことをまとめて「死ぬほど考えて答えを出してね」とお伝えしています。
「どうしてもお子さんが欲しい」という方は、やはり子どもを持つことが最優先事項になります。一方で、「子どもを持たなかったことで仕事に没頭できて良かった」というディンクスの方もいます。
自分が60歳や70歳になった時をイメージして、どんな人生ならハッピーなのかという視点から今とるべきアクションを考えてみましょう。大切なのは「逃げない」「先送りしない」「独りよがりにならない」ということ。社会を見て、自己を客観視して、将来を悩んで…その上で取るべきアクションを考えてほしいと思います。