女性雇用女性活躍推進法で企業は4つに格付けされる 専用サイトで業界ごと、地域ごとに企業が横並びで見られる
4月1日、いよいよ企業に女性活躍を促す新法「女性活躍推進法」が施行された。この法律は10年の時限立法だが、これにより、「女性活躍の見える化」時代に突入したといえよう。
この法律により、全国に約1万5000社あると言われる従業員301人以上の企業は、女性登用について数値目標を含む行動計画の策定と公表が義務付けられた(300人以下は努力義務)。そればかりではない。女性活躍に関する現在の数値の公表も同じく義務付けられた。女性採用比率、女性社員比率、男女の平均勤続年数の差異、1カ月の平均残業時間、女性管理職比率など定められた14項目から1つ以上選択し公表する。必ずしも全項目を公表しなければいけないものでないし、また、数値目標と同じ項目の現在の数値を公表することも義務づけられていないが、厚生労働省は、公表範囲そのものが企業側の女性活躍推進に対する姿勢を示すものになり、求職者などの企業選択の要素となることを留意するよう企業に呼びかける。
行動計画の外部への公表や自社の女性活躍に関する情報の公開先として、厚労省は、「女性の活躍・両立支援サイト」内の「女性活躍推進企業データベース」を用意した。すでに、3月27日現在で、2055社が情報をアップしており、業種別、都道府県別、企業規模別に企業が横並びに見られるようになっている。
女性活躍の認定マーク「えるぼし」始まり三段階の認定に
また、女性活躍の認定制度も始まる。行動計画を策定し、策定した届け出を行った企業のうち、女性の活躍推進の取組状況が優良な会社には、都道府県労働局に申請することで、厚生労働大臣の認定を受けることができる。認定を受けた会社は、厚生労働大臣が定める認定マーク「えるぼし」を商品や広告、名刺、求人票などに付けることができ、女性活躍推進企業であることをPRすることができる。それによって優秀な人材確保や企業のイメージ向上につながることも期待できる。
認定制度には、採用、就業継続、管理職比率など5つの評価項目があり、満たす評価項目の数によって、取得できる認定段階が三段階に分かれる。その段階は、えるぼしマークの星の数で表される。この認定制度は、次世代認定マーク(くるみん)と似ているように思われるが、大きな違いがある。くるみん認定の場合、行動計画を策定しその計画に定めた目標を達成することなどが認定の要件となっているが、女性活躍の認定制度は、法施行前からの実績を含めることができる。つまり、行動計画に定めた目標数値を達成しなくても、現状の数値や実績が認定基準を満たせば、認定を受けられるということだ。行動計画そのものと認定制度は厳密に言うと別物ということである。
ステークホルダーに対し女性活躍度合を見える化
この法律の狙いは、女性活躍の度合をステークホルダーに可視化するということだ。学生、消費者、取引先、投資家などなどさまざまな利害関係者に対して、現在の数値を公表することや認定マークの付与などで、「女性が活躍している会社はここです」とすぐにわかるようにするということ。学生がどこに就職しようかと考えるとき、消費者がどこの商品やサービスを購入しようかと考えるとき、また企業がどこかに仕事を発注しようと考えるとき、また投資家がどこに投資しようかと考えるとき――つまりいろいろな利害関係者が企業を選ぶときの判断材料のひとつに、「女性活躍の度合」がなる。その際に、競争原理、市場原理が働くので、企業は切磋琢磨して女性活躍を進めてくれるだろうというのが政府の目論見だ。
えるぼし認定が開始されることで、企業は女性活躍の度合に応じて「格付け」されることになる。まず、厚生労働大臣にえるぼし認定されるかいなかで、企業は大きく二つにフィルタリングされる。さらに、認定企業の中でも三つに分かれ、「女性活躍の三ツ星企業」から「星なし企業」まで四つに格付けされることになる。
今の時点でえるぼし認定はまだないが、横並びで企業の情報が見られるというインパクトは予想以上のものがある。
施行直前の3月、企業を取材していると、行動計画の策定よりも、公表項目を何にするかに頭を悩ませている企業が目立った。大手企業では、できるだけ多くの項目を公表するようにグループ企業に呼び掛けているところもあるが、企業が慎重に公表項目を選ぶ裏には数字がひとり歩きして間違ったように解釈されてしまう恐れもあるからだろう。
女性管理職比率が高いほうが必ずしも女性活躍が進んでいると言えない場合がある。例えば、製造業A社は女性社員比率10%で女性管理職比率10%、金融業B社は女性社員比率50%で女性管理職比率が20%だった場合、女性管理職比率だけで見ると一見B社のほうが女性活躍が進んでいるようにみえるが、女性が採用しにくい製造業において女性比率が少ないながら、きちんと育成登用して女性人材のパイプラインが構築されているA社のほうが進んでいるともいえる。「求職者はそのような業界別の特色も勘案しつつ見てくれるのか」「備考欄や自主的に掲載したい項目を書ける自由記述欄も読み込んでほしいのだが」という声が上がっている。「データベース」という定量的な要素にはなかなか反映しづらい自社の女性活躍の状況を、違う形でより丁寧に伝える必要性は高まったのかもしれない。
なお、301人以上の大企業は、施行前に行動計画の策定や公表を終えていることが義務である。次なる政府の狙いは、努力義務となっている300人以下の中小企業に行動計画を1社でも多く策定・公表させることである。

