女性雇用「就職に強い女子大」ベスト60校ランキング ノートルダム清心女子大学がトップ
進学先として女子大の人気が低下しているが、就職をする場合、女子大と共学はどちらが有利なのか。女子大の中でもどの大学が、どのような実績を挙げているのか。大学通信 情報調査・編集部の井沢秀チーフが、「女子大の実就職率ランキング」を基に女子大の就職状況について解説する。
共学の大学と比較すると、女子大は就職率が高い大学が多い。大学通信が全大学(医学科と歯学科の単科大学を除く)を対象に行った2015年卒の就職状況調査によると、共学の大学の平均実就職率(注)が84・4%なのに対し、女子大の平均値は85・3%と約1%ポイント高い。女子大の実就職率ランキングを見ると、90%超の大学は14校に上る。
(注)実就職率=就職者数÷(卒業者数-大学院進学者数)×100
就職率が高い要因は、女子大特有の面倒見の良さにある。学生数がコンパクトな大学が多く、教職員の目が行き届きやすいため、入学後に実力が伸びる学生が比較的多いことが、就職力に結びついているのだ。
トップはノートルダム清心女子大学
全体的に就職率が高い女子大にあって、実就職率ランキングで今回トップになったのはノートルダム清心女子大。文学部と人間生活学部の2学部から成る大学だ。就職者数が最も多いのは「学校」で、今春は122人が保育士を含む教員として就職している。地元の岡山県の金融機関にも強く、中国銀行、全日信販、トマト銀行などの就職者が多い。
2位の福岡女学院看護大は、2008年に設立された歴史の浅い大学ながら、96・3%と高い実就職率となっている。医療系の資格の中でも看護師国家試験は合格率が高く、就職も売り手市場ということが高い実就職率の要因となっている。
医療系に限らず、就職に直結する資格が取得できる大学は実就職率が高い傾向がある。3位の岐阜女子大は管理栄養士などの資格が取れる家政学部と、初等教育学専攻を持つ文化創造学部からなる。
5位の女子栄養大は、栄養学部のみの栄養学教育に関する伝統校であり、毎年、数多くの管理栄養士を輩出している。15年春の第29回管理栄養士国家試験では、合格者数が229人で全大学中トップだった。
就職支援は人数が少ないほど行き渡りやすく、就職率も高くなる傾向にある。そうした中、卒業生が1200人と規模が大きな女子大ながら、実就職率が93・9%で4位に入ったのは昭和女子大。
昭和女子大は卒業生が1000人以上の女子大の中、5年連続で就職率トップをキープしている。アメリカのボストンにある教育施設、昭和ボストンをベースとして早くからグローバル化を推進してきた大学であり、社会人基礎力の養成に繋がるプロジェクト型授業にも力を入れている。こうした社会で求められる能力を養成してきた成果が、実高い就職率となって現れているようだ。
全寮教育の福岡女子大も健闘
グローバル化では、17位の福岡女子大も評価が高い大学だ。1年次に留学生が暮らす国際寮に国内生も入居し、全寮教育を行っている。それにより異文化理解や外国語でのコミュニケーション能力が身に付くのだ。ちなみに、今春の福岡女子大の就職者数上位企業には、社内公用語が英語の楽天グループが入っている。
規模が大きな女子大に話を戻そう。卒業生が1000人以上の女子大で2番目に実就職率が高いのは全体ランキングで8位の日本女子大。今春の就職者数のトップは三菱東京UFJ銀行で、三井住友銀行、りそな銀行、みずほフィナンシャルグループと続いた。
日本女子大は東の女子大御三家(日本女子、東京女子、津田塾)の一つ。その御三家の中で2番目に就職率が高いのは実就職ランキング9位の東京女子大。就職先の上位には、日本女子大と同様にメガバンクを中心とした金融機関が並ぶ。
津田塾大(29位)の就職者数上位企業は、他の2校と異なる。トップはりそなグループだが、ANA、三菱東京UFJ銀行、NECソリューションイノベータ、日本銀行、日立製作所など、ソフトウエア企業や製造業の就職者も多い。数学科や情報科学科といった理系学科の定員が多いことが影響しているようだ。
西の女子大御三家に目を移すと、最も実就職率が高かったのは20 位の京都女子大。就職先の上位は、京都銀行がトップで、みずほフィナンシャルグループ、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行などが並ぶ。
2番目は34位の神戸女学院大で58位の同志社女子大が続く。両校ともに三井住友銀行が就職者数トップ。住友銀行の本店が大阪だったことと無関係ではないだろう。他の就職者数上位企業に銀行や生保、証券といった金融機関が名を連ねるのは他の有名女子大と同様だが、薬学部を持つ同志社女子大は、阪神調剤薬局が就職先の上位に入っている。
東西の有名女子大以外にも、銀行を中心とした金融機関への就職者が大学全体の就職力を牽引している女子大は多い。その要因の一つは短期大学の減少だ。近年、教育・研究環境の充実などを目指し、4年制大学化する短期大学が増えてきた。
かつての銀行の一般職は、短期大学からの採用が多かったが、短期大学の減少により4年制大学にシフトしているのだ。さらに、銀行の業態が変わった影響もある。特定職や一般職といった女性比率が高い職種が増え、結果として銀行の採用意欲が高まっていることが、女子大が銀行に強い要因となっている。
みずほフィナンシャルグループ、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行の3大メガバンクへの就職状況を見ると、卒業生に対する占有率では東西の御三家をしのぐ女子大もある。
3大メガバンクの就職者が卒業生に占める割合を見ると、最も高いのは実就職ランキングで24位の学習院女子大。占有率は11・3%で、卒業生の10人に1人が就職している計算になる。卒業生に占める割合が2番目に高いのは、西の御三家の一つ、神戸女学院大で8・4%、3番目は実就職率ランキングで43位の白百合女子大で6・9%だった
女子大の競争率が低下傾向に
航空会社に強い女子大も多く、日本航空と全日本空輸の合計就職者数が卒業生に占める割合は、聖心女子大3・4%、学習院女子大2・6%、白百合女子大2・4%、東洋英和女学院大2%となっている。
女子大は就職率や就職先が充実している割に、入試のハードルが低いケースが多い。たとえば、青山学院大と日本女子大を比較すると、就職率は前者の88・2%に対して後者が91・5%と高いにも関わらず、今春の競争率(受験者数÷合格者数)は、青山学院大の5・5倍に対し、日本女子大は2・3倍と半分以下だった。
女子大に競争率が低い大学が多いのは、医療系や理工系を目指す“リケ女”の増加に代表されるように、女子受験生の進学先が多様化しているためだ。
女子大にない学部を目指す傾向が強まり、結果として女子の共学志向が高まっていることが低競争率の要因。今春の状況を見ると、津田塾大2・1倍、東京女子大2・1倍、京都女子大2・2倍、同志社女子大3・6倍、神戸女学院大2・2倍と、有名女子大でも2倍台が大半だ。
比較的入試のハードルが低いにも関わらず、高い就職力を誇る女子大が多い。学びたい学問分野がある女子受験生にとって、女子大は“お得な大学”といえるのではないか。

